■サードパーティ参入タイミングがカギ

 1983年12月発売の『ベースボール』はファミコン初のスポーツゲームであり、なおかつ当時は今よりも野球人気が圧倒的に高かった。また84年5月発売の『ゴルフ』は大人も楽しめる内容がウリ。しかも今のゴルフゲームのショットのベースを生み出した画期的な操作感覚や、2人対戦の面白さなどもあって、子どもたちの間でもかなり人気だった。

 そんなゲーム自体の面白さがウケたのも『ベースボール』や『ゴルフ』の売れた要因のひとつだが、それよりも発売当時は「任天堂のゲームしかなかった」ことが大きく影響したと思われる。ファミコンが発売されたのが1983年7月15日で、当初発売されたソフトは任天堂のゲームオンリー。つまりサードパーティのソフトは一切なかった。

 任天堂のソフトが大半を占めていた83年から84年に発売された『麻雀』(213万本)、『マリオブラザーズ』(163万本)、『エキサイトバイク』(157万本)、『テニス』(156万本)、サッカー(153万本)といったタイトルが軒並みミリオンセールスを記録していることも、その事実を裏づけている。なにせ、あの『ドラゴンクエスト』(150万本)よりも売れているのだから……。

 一番最初に登場したサードパーティのソフトは、ハドソンの『ナッツ&ミルク』と『ロードランナー』で、1984年7月20日のこと。続いて84年9月以降にナムコが『ギャラクシアン』や『パックマン』『ゼビウス』などを発売するが、任天堂のソフトに比べるとまだまだ少数だった。

 そしてファミコンブームが本格的に加熱したのは、85年9月の『スーパーマリオブラザーズ』の大ヒット以降と言われている。その頃にはサードパーティのメーカーが続々参入し、ファミコンソフトの発売本数も急増していった。

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