■「ご自由にお持ち帰りください」行きになった周辺機器
時代を先取った周辺機器と言えば、外せないのがグローブ型のコントローラー『パックスパワーグローブ』でしょう。なんと、ファミコンでWiiのようにセンサーでキャラを動かせたのです。
このグローブをはめることで、腕を右に持っていけば、マリオが右に。指を曲げればマリオがダッシュやジャンプできるという! 当時放映されたCMも近未来的でかっこよく、キャッチコピーや説明だけを見れば夢のようなグローブ! ファミコン本体よりも高い値段でしたが、当然僕も買いました。
ですが……、喜び勇んでグローブを装着しゲームをプレイすると、死ぬほど得意なはずのスーマリが1-1すらクリアできない。不良品かと思い箱を見ると、「最初に読んで下さい」という紙切れが。そこには、太文字フォントで「操作性が大変微妙なため、あきらめずに練習してください」と書かれていたんです。続けて説明書を読むと、そこにも同じ記述が。買って数分で「つかまされた」と気づきました。
あれだけ大々的に広告を打っていたのに、販売している側が、それほど微妙だと分かっていて販売するとは!?
これこそ構想だけが先行して、技術が追いついていない代表的なものでしょう。『パックスパワーグローブ』は、瞬く間にクソ周辺機器の烙印を押され、瞬く間に値がくずれ、最終的には、秋葉原などのショップで「ご自由にお取り下さい」とまで書かれる運命となりました……。
他にもゲームが飛び出して立体的に見える「3Dシステム」や、テレビでお絵かきできる『おえかキッズ』、2コンのマイクでなくちゃんとしたマイクで歌える『カラオケスタジオ』、作曲ができる『ドレミッコ』などなど、周辺機器は数知れず。
当時としては技術が追いついていなかった愛すべき周辺機器も含めて、ファミコンのこれらがあったからこそ、ニンテンドーラボのような最新機の周辺機器があると言っても過言ではありません。