■細かい演出のこだわりと隠しキャラの存在
本作はとにかく細部にわたって作りこまれています。25年前のゲームなのでもちろんグラフィックなどは現在より劣りますが、それでも今の作品にも負けない熱いこだわりを随所に感じることができるでしょう。
たとえば、文化祭。本作はフルボイスで、年賀状を届けてくれる顔も出ない郵便局の人にすらボイスが入っているというこだわりようなのですが、文化祭のイベントは部活と出現しているヒロインによって複数の選択肢があります。
ちなみに、詩織の所属する部活はプレイヤーがゲーム開始時に設定した「詩織の誕生日」によって異なります。つまり、詩織が何の部活に入っているかによってルートが変わるプレイヤーもいますし、どのステータスを上げたかによって登場しているヒロインも違いますから、すべて“同じ文化祭”なわけがないですよね。
お目当ての子と文化祭を回る、というだけでなく同じ部活で出し物をするというイベントになることあります。これだけでも豊富なイベントなのですが、その一つ一つがどれもちゃんと楽しいものになっているので、これを知っているか知らないかで周回プレイ時のやる気も変わることでしょう。オススメは演劇部のフルボイス舞台です。なかなかにカオスな出来栄えとなっていますよ。
修学旅行は京都・奈良、沖縄、北海道の3つから選ぶことができたり(当然、場所によって発生するイベントは異なります)、入った部活によって様々なイベントを見ることができたりなど、攻略する女の子以外にもやりこみ要素は盛りだくさん。
さらにヒロインは隠しキャラも含めて13人おり、1周目で全キャラに出会うことは絶対無理なので、ゲーム側が1周で終わらせる気がさらさらなく、何度プレイしても楽しめる作りになっているのです。
たとえば、同じコナミの野球ゲームの金字塔『実況パワフルプロ野球』のサクセスモードも、同じシナリオでありながら、「次はこんな選手を作ろう」「え、こんなイベントあったの!?」という期待が常にあるので何度も繰り返し遊べますが、それと同様に何度もときめき高校生活を送ってしまう中毒性が本作にはたくさん詰まっています。攻略した女の子で打線を組むことはできませんが、クリア時の達成感と感動は甲子園優勝にも引けを取らないのではないかと思います。
遊び心とやり込み心をくすぐる恋愛シミュレーションゲームのパイオニアにして頂点といっても過言ではない本作。まだプレイしていない、もしくは「美少女ゲーム」というジャンル自体に触れたことがない人も、男女問わずこの機会に楽しんでもらいたいなと思います。ちなみに、初見の方にアドバイスですが、2年生になると入学してくる好雄の妹・早乙女優美ちゃん(夏服かわいい)の爆弾は本当にすぐつくのでご注意ください。
まあ注意したところでつくもんはつくし、爆発するもんは爆発するんですけどね。