■「爆弾処理」に費やす高校生活

のんびり筋トレや勉強ばかりしていると、このようなトラウマ的テロップが出る

 さあ、ステータスを上げて、何人かヒロインの女の子が出現し、あなたのお目当ての子が決まりだしてきたところで、このゲームの実質的な”本編”が始まります。それは、「爆弾処理」です。

「爆弾」というのは、女の子からの不満が溜まると発生してしまうもので、一定期間が経過すると爆発してしまいます。爆発すると、主人公が女の子を傷つけたという良くない噂が広まり、その女の子だけでなくヒロインたちの評価が全体的に大きく下がってしまうのです。これがもう本当に大変で、もう中盤から好雄に電話して爆弾をチェックし、その爆発を未然に防ぐために電話する、ということに奔走するハメになって、お目当てのヒロインと全然仲良くなれない!という葛藤にさいなまれることでしょう。

 しかし、これこそがこのゲームのミソなのです。

バクダンの噂は早乙女くんに電話して即確認

 お目当てのヒロインだけ追いかけていればいい、というだけのゲームでは、正直言って「攻略する」といってもほとんどメッセージを読み進めているだけになってしまいますよね。しかし、このゲームではたとえば詩織を狙っているときでも、ほかの女の子からの「一緒に下校しない?」や「今度の日曜日空いてる?」などという誘いを受けざるをえない状況になることもしばしば。断れば、その女の子を傷つけてしまい、爆弾が発生してしまうという危機感が常にプレイヤーの脳裏によぎるからです。

 しかし、かといって「八方美人」では意外とうまくいきません。なぜなら、ある1人の女の子と仲良くしていると、ほかのヒロインの評価が下がってしまうからです。

 たとえば、本作では好雄が気を利かせて遊園地のダブルデートに誘ってくれることがあるのですが、その際の女の子が、お目当ての女の子・Aと爆弾持ちの女の子・Bの2人だったとします。そして、プレイヤーはこのあと3つのアトラクションをどちらと楽しむかを選ぶことができるのですが、Aだけでなく「せっかくだから評価上げておくか」とBも選んだとします。すると、Aが少し傷ついてしまう結果となってしまうのです。

 リアルで考えても、良い感じだった異性が自分ではない同性と2人で観覧車に乗っていたら、「ああ、そういうことね」と察しますよね。それと同じで、特定の女の子と仲良くすると、ほかの子の評価が下がっていくのです。

四季折々のファッションを楽しめるので、毎週デートに誘いまくりたくなってしまう

 1人の子に最大限好かれる、ということが目的のゲームにおいて、ほかの子の評価など本来どうでもよいのですが、この爆弾システムによって一筋縄ではいかないゲーム性を保っているのです。そのため、テクニックとして「お目当て以外のヒロインの出現を抑える」というものがありますが初見ではたとえ条件を知っていたとしても、なかなかコントロールできないでしょう。なので、最初のうちはとにかく好きなようにプレイして、いろんな女の子と出会い、混乱し、想いが錯綜しまくる高校生活を楽しみましょう。

夏の水着デートを誰と楽しむのかも毎度悩むところ

 ちなみに僕は野球が好きなので、初プレイ時は野球部に所属していたのですが、毎月第3日曜日は部活動に出なければならないという“足かせ”があったせいで本当に苦労しました。デートするにも、誘うにも、土日祝日でないとダメという本作のシステムにおいて、毎月1つ日曜日がつぶれるというのはそれ相応に厳しいもので、かなり気を使いましたがそれでも爆弾が2つほど爆発しました……。運動部のアイドルこと虹野沙希ちゃんを狙っていたので、部活動はどうしても休みたくなかったのです……。

虹野さんといえばお手製弁当

 とにもかくにも、ただの「メッセージ送りゲーム」ではなく、いかに能力と評価を上げながらデートをこなしてお目当ての女の子とのグッドエンディングを迎えられるか、というゲーム性の作り込みが丁寧で、ふだん恋愛シミュレーションをやらない人ですら楽しめる作品となっているのは本当に素晴らしいです。

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