■「大正浪漫+スチームパンク+ギャルゲー」という足し算が生んだ奇跡

『サクラ大戦』より

 ではまず冒頭のあらすじをご紹介します。

 時は架空の年号である太正12年。帝国海軍を卒業したばかりの新人少尉である主人公・大神一郎は、花小路伯爵からの推薦で特殊任務として、政府直属の秘密部隊「帝国華撃団 降魔迎撃部隊 花組」隊長に着任するよう命じられます。

 伯爵に言われた通り、帝国華撃団の迎えの者と落ち合うために上野公園に向かうと、そこで米田一基中将からの指示を受けたという真宮寺さくらと出会います。降魔迎撃部隊の迎えの者が女性であることに驚く大神をよそに、さくらは大帝国劇場へ行こうと言い始め、さらに驚く大神。その後、劇場で個性豊かな女性たちと出会いつつ、昼間っから酒を飲む「総支配人」の米田中将にあいさつしに行きます。そこでなんと劇場の受付でキップを切る「モギリ」の任を命じられるのでした……。

 受付の仕事をこなした後、米田中将に「話が違う」と言い寄る大神でしたが、ここは「帝国“華撃”団」ではなく「帝国“歌劇”団」、「秘密“部隊”」ではなく「秘密“舞台”」だと言われてしまいます。

 ショックの色を隠せず分かりやすく落ち込む大神でしたが、そんなある日、サクラと話していると警報が鳴り響きました。するとさくらは「帝国華撃団・花組、出動です!」と、ダクトの滑り台のようなものに入り、中で着替え、下にたどり着くとそこにはいつもと違う様子の「帝国“歌劇”団」の面々が……!

 驚く大神に米田中将は「秘密部隊の隊長として適任かどうかを試した」と語り、これこそが「帝国“華撃”団」の真の姿であり、ここは地下指令室だと説明してくれます。そして大神たちは霊子甲冑「光武」に乗り込み、魔装機兵という機械兵を使って帝都を脅かす謎の組織「黒之巣会」が出現した上野公園に向かうのでした。

 ここまでが冒頭のあらすじで、チュートリアル的に初戦闘を終えた後はみんなで上野公園でわいわいした後に次回予告が流れて、次章へと続くというかたちになっています。

 今、さらっと言いましたが、この次回予告というアニメのような形式もかなり凝っていて、次回予告はさくらだけでなく各キャラクターが務めてくれるのですが、全員共通の「太正桜にロマンの嵐」という決めセリフがいかにもアニメっぽくて僕は好きです。

毎話挟まれるOPや予告が素晴らしすぎる

 また「え、次何が起きるんだ!?」と思わせてくれる「チョイ見せ感」にもこだわりを感じます。この次回予告とOPだけでも見てもらえれば「え、これが24年前のゲームなの!? すごくない!?」と感動していただけるかと思います。本当にすごいです。

 では、ここからは本作の特徴について紹介していきたいと思うのですが、たった今、設定や枠組みなどほとんどいじらずともこのままアニメ化することも可能なほどのハイクオリティなアニメーション演出のすばらしさについて書いていきましたが、それはまだまだ序の口で本作の「凄み」はまだまだございます。

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