■合言葉は「強い奴に会いに行く」
自宅で友だちとの対戦で盛り上がっている間も、ゲーム界における『スト2』ブームはどんどん大きくなっていきます。意識の高い友だちは大きなゲーセンのある隣町まで自転車で遠征に行ったり、攻略情報が載っている雑誌『ゲーメスト』(新声社)を買って情報収集するなど、強くなるための労力は惜しみませんでした。
ちなみに自分は“ベーマガ”こと雑誌『マイコンBASICマガジン』(電波新聞社)を愛読していたのですが、敬愛する山下章氏が『スト2』を題材とした小説を書き出したことに衝撃を受けたのも良い思い出です。
ファミコン時代の対戦ゲームは、ある程度のコツさえつかめば勝ったり負けたりできましたが、『スト2』以降の格闘ゲームでは、それが通用しなくなった印象です。しっかりとコンボや返し技などの情報を集めて、ゲームをやりこんだ人が実力通りの力を発揮する……だからこそEVO(エボリューションチャンピオンシップシリーズ)のような大きな格闘ゲーム大会が催されるまでに至ったのでしょう。
「俺より強い奴に会いに行く」──これは『スト2』の名キャッチコピーですが、実際に強いヤツとの対戦を求めてゲーセンを渡り歩いた人も大勢いると思います。自分は、せいぜい「多少強くて、いい気になっている友だちを実力で分からせる」程度の志ではありましたが、根底にある「強くなりたい」という気持ちはどちらも一緒。そうした共通の想いが生まれたことも、ブームとなった一因なのかもしれませんね。
(ふたまん編集部)