『時すでにおスシ!?』50代ヒロインでもやっぱ面白い…TBSドラマ「火10」枠が描き続ける「女性の生きる道」の画像
TBSドラマ『時すでにおスシ!?』 (C)TBS

 平成初期に、『東京ラブストーリー』『101回目のプロポーズ』『ロングバケーション』など恋愛ドラマの名作と呼ばれる作品を生み出してきたフジテレビの月曜ドラマ(通称:月9)は、時代の変化とともに、医療ドラマや刑事ドラマへと舵を切り、いまでは「月9といえばラブストーリー」というイメージはほぼない。

 そんななか、代わるようにその役割を担うようになったのが、TBSの火曜ドラマ(通称:火10)ではないだろうか。2016年放送の『逃げるは恥だが役に立つ』(以下『逃げ恥』)がヒットを記録して以降、女性たちの生き方を問うようなラブコメディが、その後も続いている印象を受ける。実際、火10には「明日を頑張る女性を応援する」というコンセプトがあると、番組のプロデューサーもインタビューで明かしている。

 『逃げ恥』以降の火10は、働く女性をターゲットに据えたラブコメを量産してきた。ヒロイン像も、『私の家政夫ナギサさん』の相原メイ(多部未華子)や、『着飾る恋には理由があって』の真柴くるみ(川口春奈)、『婚姻届に判を捺しただけですが』の大加戸明葉(清野菜名)に代表されるように、バリキャリすぎるあまりに恋愛を後回しにしてきたタイプの女性が中心となっている。

 そんな火10において、転換期となったのは、昨年放送のドラマ『対岸の家事~これが、私の生きる道!~』(以下『対岸の家事』)だと思う。同作は、専業主婦のヒロイン・村上詩穂(多部未華子)が、ワーキングママの長野礼子(江口のりこ)や育休中のエリート官僚パパの中谷達也(ディーン・フジオカ)と出会い、価値観の違いに悩みながら、自分の生きる道を探していく物語。このドラマを観たとき、「火10、ここまできたか……!」と思ったのを覚えている。

 『対岸の家事』の詩穂には、優しい夫と可愛い娘がいる。おそらく、これまでの火10ヒロインらが憧れを抱くものは、キャリア以外、ほとんど持っていたはずだ。しかし、そんな彼女にも専業主婦ならではの葛藤がある。これが、“隣の芝生は青く見える”ってやつなのだろう。

 それにしても、“玉の輿”がテーマだった2000年放送のドラマ『やまとなでしこ』の頃までは、専業主婦といえば憧れの職業だったはずなのに、令和のいまではこんなにも変わってしまったのか……と衝撃を受けた。「専業主婦です」と言うと、ほかのママさんたちは「えっ、なんで?」という感じで、詩穂を見るのだ。

 一方で、専業主婦の詩穂を見下していたワーキングママも、育児と仕事の両立に悩んでいたり……。結局、人にはみんなそれぞれの地獄があって、人生というのはどの地獄なら耐えられるのか? を選んでいくものなのかもしれないなと思った。

 どんな世代の女性にも、悩みが存在する。それを応用したのが、4月7日スタートのドラマ『時すでにおスシ!?』だ。同作のヒロインは、50歳の待山みなと(永作博美)。ちなみに、火10ヒロイン史上最高齢らしい。

  1. 1
  2. 2
  3. 3