■火10史上最高齢!永作博美が“空の巣症候群”に悩むヒロインに
みなとは、ひとり息子の渚(中沢元紀)が独立したことで、空の巣症候群(=子どもが独立したことで、雛が巣立ったあとのような喪失感を覚えること)に陥っている。いままで、火10がターゲットにしてきたであろうF1層(20~34歳の女性)からはだいぶズレているが、これがまた面白かった。
わたしは未婚のアラサーなので、みなとの気持ちに全力で共感できるわけではないのだが、“役割”から降りたことで、喪失感を抱いた経験はある。
また、これまでの火10ヒロインに共感してきた世代の視聴者は、みなとの葛藤を通して、母へ思いを馳せる人が多いのではないだろうか。わたしも、どちらかというと、みなとよりも渚に共感してしまった。こちらは自立しようと頑張っているのに、いつまでも子ども扱いをされると、「心配すること以外にやることないの?」と言いたくなる気持ちも分かる。かつては、わたしもそうだった。
でも、あの頃よりもちょっとだけ年齢を重ねたいまなら、分かる。お母さんも、きっとみなとのように戸惑っていたのだろうな……と。「お母さんじゃなくなったら、わたしは何なの? 散々やらせておいて、何? 自分のため(に生きろって)? そんな簡単に切り替えられないよ!」というみなとのセリフは、彼女と同世代の母なら、誰もが共感できるものではないだろうか。
第二の人生のスタートとして、お寿司を学ぶ“鮨アカデミー”に入会するというのも、またポップで面白い。しかも、講師を務めるのが、松山ケンイチときた。わたしはまだ少し日曜劇場『リブート』(TBS系)を引きずっているので、「松ケン、まさかリブートしていないだろうな?」と思いつつ、彼が演じる大江戸海弥の堅物ぶりにクスクスしている。
大江戸は、冷たく見えるけど、絶対に優しいやつだ。ラブコメの火10でありながら、いまのところ、みなとと大江戸に恋のフラグを感じさせるような場面はない。でも、これからどうなっていくのかはまだまだ未知数だ。みなとは果たして、板前になれるのか。そして、大江戸との関係性は……? 毎週火曜日が楽しみになるドラマが始まった。
■TBS火10の名作をAmazonでチェック



