小林靖子「作品の面白さを伝えるのが脚本家の仕事」どうしても出てしまう“カッコいいシーンを書きたい”という思いの画像
© 2025『岸辺露伴は動かない 懺悔室』製作委員会 © LUCKY LAND COMMUNICATIONS/集英社

 5月23日から劇場公開中の高橋一生さん主演の映画『岸辺露伴は動かない 懺悔室』(監督:渡辺一貴さん)の脚本を手がけた小林靖子さんに話を聞いた。今回は『スーパー戦隊』シリーズや『仮面ライダー』シリーズなどの特撮作品を出発点に、『ジョジョの奇妙な冒険』をはじめとするアニメ作品、そして実写ドラマの世界へと活動の幅を広げてきた小林さんが、自らの原点、キャリアの歩み、そして“カッコいい”と感じるヒーロー像について語っている。

 通勤電車で『エクシードラフト』の脚本を考えた

──これまでのキャリアについてお聞きしたいと思います。まず、小林さんはどのような思いで、脚本家を目指されたのですか?

小林:最初から脚本家になろうと思っていたというより、アニメが好きだったのでセリフを想像するのが好きだったんです。それで、地の文ではなくて、セリフをいっぱい書くのは脚本だということを知って、「じゃあ勉強してみようかな」と思って通信教育を受けました。

──強く影響を受けたアニメ作品はなんですか?

小林:『サイボーグ 009 』(1979年~80年、テレビシリーズの第2作)を観ていましたね。009が金髪になったシリーズです。それから『ルパン三世』や『スペースコブラ』も好きでした。もっと小さいころは、『科学忍者隊ガッチャマン』とか。でも、アニメ以外に影響を受けたといえるのは時代劇ですね。『必殺仕事人』が大好きでしたし、カッコいいものが好きだったんですよね。それで、カッコいいセリフが書きたいなと思って、ノートに書いていたんです。

──しかし、そこから、脚本家を目指して一直線でもなかったようですね。

小林:はい。短大を出たあと会社で働いていました。そんなあるとき、メタルヒーローシリーズの『特捜エクシードラフト』が面白くて、通勤電車の中でふと思いついたストーリーを最後まで考えてみたら、30分モノの脚本がそのままできちゃったんです。

 で、家に帰ってから、それをワープロでガーッと打ち込みました。私、普段はそういうことをしないタイプなのですが、「せっかくできたので送ろう」と思って。そのころはテレビ番組って“皆様のご意見・ご感想”というのを募集していたので、そこに送ってみたんです。それが、たまたま脚本家の方やプロデューサーさんの目に留まったことで、脚本家への道が開けました。

──もし当時脚本を送らなければ、今の小林さんはいなかった可能性もあったのですね。デビュー作は1993年に放送された『特捜ロボ ジャンパーソン』の第40話でした。以後、『星獣戦隊ギンガマン』('98年)以降スーパー戦隊シリーズで5作品、『仮面ライダー龍騎』('02年)ほか仮面ライダーシリーズで3作品のメインライターを担当されました。やはり特撮というものに強い思い入れがあるということでしょうか?

小林:それは、たまたま東映さんでデビューさせてもらったことで、いただくお仕事に特撮が多かったということですね。ただ、カッコいいヒーローは好きです。

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