■このゲームは「クソゲー」か?
史実に対して真っ向勝負な内容の『武田信玄』。ゲームとしての評価は、けして芳しいものではない。中には「クソゲー」という声もある。そして1988年当時、「戦国大名自らが敵陣に斬り込む」という内容はあまりに荒唐無稽なものと見なされてしまった。
ゲームバランスや理不尽さはさておき、ひとりの武将が数百の敵兵をなぎ倒すというコンセプト自体はナンセンスではないことを我々現代人は知っている。コーエーの『無双シリーズ』がそうだし、筆者が先日取り上げた『天地を喰らうII 赤壁の戦い』もそれに当てはまる。「武田信玄がたったひとりでチャンバラするわけないだろ」という突っ込みこそがナンセンスで、そのあたりの名誉回復はあってしかるべきだ。
『武田信玄』はアクションゲームというジャンルに新たなエッセンスを与えた歴史的作品、と評価するべきと筆者は考えているが、いかがだろうか。