1988年8月、ジャレコがアーケードゲーム『武田信玄』を全国のゲームセンターで稼働させた。これはタイトル通り、武田信玄を主人公にしたベルトスクロールアクションで、1Pで信玄を、2Pで弟の武田信廉を操作し、4つの合戦に打ち勝つという内容だ。信玄と信廉がたった2人で、1Pのみの場合は信玄が単騎で敵陣に殴り込みをかける! この『武田信玄』は、さまざまな意味で「問題作」なのだ。
■大河は大人気だったが…
1988年当時に放送されたNHKの大河ドラマは『武田信玄』だった。この作品は最高視聴率49.2%を記録した名作で、数十頭の馬を繰り出す大迫力の合戦シーンや「今宵はここまでに致しとうござりまする」という大井夫人(演・若尾文子)の締めのセリフも大きな話題になった。さらに主役の武田信玄を演じるのは、スリムな体型の中井貴一。それまでの信玄のイメージを覆すビジュアルだったが、温情と非情を織り交ぜる信玄を見事に演じ切った。
大河ドラマの『武田信玄』は、紛れもなく大作であり名作だ。では、アーケードゲームの『武田信玄』はどうか? このタイトルは1989年にPCエンジン(エイコムより発売)に移植され、現在はNintendo SwitchおよびPS4配信中の『アーケードアーカイブス 武田信玄』で移植プレイ可能だが、とにかく操作が難しい!
たとえばジョイスティックを左方向に入れた状態で攻撃ボタンを押しても、画面の信玄はなぜか右方向にしか刀を振らない。これはどういうわけだ?
実はこのゲーム、「右攻撃」と「左攻撃」が別のボタンに振り分けられている(PCエンジン版ではこのシステムは廃止)。一般的なベルトスクロールアクションなら十字キーの左右が攻撃方向を決定するが、『武田信玄』の場合はわざわざ2つの攻撃ボタンが用意されているのだ。これはやりづらい!