■ゲーム史に残る悪女・ヨヨとは…

『バハムートラグーン』 プレイ画面より

 先ほど、個性的なキャラクターという話の流れがありましたが、本作を語る上でまず間違いなく挙げられる個性的なキャラと言えば、ヒロイン・ヨヨでしょう。というか彼女はヒロインだったのでしょうか。今となってはもうどちらでも良いです。あんなやつ。

 ヨヨは物語の冒頭、サウザーにとらわれてしまいます。カーナ王国の王女であり、ビュウの幼なじみともなればヨヨを必ず助けるぞ!という気持ちでゲームが始まりますよね。

 さらに先ほど、センダックの件でも少し触れた回想シーンでは、二人きりで訪れた男女は将来必ず結ばれるという「思い出の教会」で“大人になったら”2人でここに来ようと約束するなど、ビュウにとって大切な存在であり、プレイヤーにとってもある種、2人の幸せを取り戻すことが目標にもなっています。

 が、しかし、そんなプレイヤーの気持ちをことごとくへし折っていくのがヨヨなのです。ネタバレを避けるとどれくらい触れてよいのか分かりませんが、彼女の名セリフ「おとなになるって かなしいことなの」には子どもながらにブチギレてしまいました。何言ってんだこいつ、と。

『バハムートラグーン』 プレイ画面より

 ただ、擁護するわけではありませんが、これだけ悪女だと言われる原因はその性格や言動だけでなく、シナリオの前フリが非常に丁寧であることのギャップが大きいのではないかと個人的には思います。先ほども言った通り、ヨヨは主人公にとっても、ドラグナーというこの世界にとっても大切な存在であるということを冒頭からずっと植えつけられているので、ある裏切り行為を受けたときの衝撃が尋常ではないのです。

 とにかくこのゲームは世界観からシナリオ、キャラクターまですべてのギャップを随所に感じることが多く、さらにそのギャップがゲームの魅力となっているのが素晴らしいと思います。あまりのギャップに困惑して、逆にヨヨが一周回って好きだという人もいるのではないでしょうか。いないか。

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