■「俺、天才じゃん…」が何度も味わえる『Baba Is You』

日本ゲーム大賞2020で「ゲームデザイナーズ大賞」を受賞した「Baba Is You」

 まずご紹介させていただきますのは『Baba Is You』というフィンランドのパズルゲームです。

 猫のようなキャラクター『Baba』を操作して岩などのオブジェクトを動かしながらゴールを目指す、というステージクリア型のパズルゲーム、と言いたいところですが、このゲームのルールはかなり流動的で実はこの説明も合ってはいますが正確ではありません。

 どういうことかと言いますと、従来のパズルゲームでは道中の岩が邪魔していれば、それをうまくくぼみなどに押し込んで道を作りゴールまで行く、というのが当たり前だったと思います。ところが本作には、まずステージの中に条件の書かれた文章があり、それも動かすことができるようになっているのです。

 例えば、あるステージで「BABA」「IS」「YOU」という単語が並んでいた場合、「あなたはBABAです」という文章となり、プレイヤーはBABAを操作することになります。

 そして、「FLAG」「IS」「WIN」という単語が並んでいれば、ステージ中にある旗に触れればクリア、ということを指します。つまりこのステージでは「BABA」を動かして、「FLAG」に触れればよい、ということになるのです。

ステージは徐々に複雑化

 ところが、どうにも壁が邪魔でFLAGにたどり着けない! ということに陥ったとします。そこでステージにある「ROCK」やら「WALL」やらといった単語をうまく活用していくことになります。

「BABA」と「WALL」を入れ替えて「WALL」「IS」「YOU」にすれば壁を操作できるようになるし、「ROCK」「IS」「WIN」にすればFLAGまで行けなくとも近くにある岩に触ればクリア、という条件にすることもできちゃうのです。

 というように少しややこしいですが、このステージをクリアするために「ゲームのルールを変えちゃう」ことができるのがこのゲームの面白さであり、真髄です。

クリア時に脳汁ドバドバ。年末年始にぴったり。

 一休さんばりのとんちを発揮して、幾通りもあるゴールまでの道筋を作り上げていくたびに「あれ、俺天才じゃね?」という感覚を何度も何度も味わえます。一手戻したり、リトライしたりするのがかなり簡単なので、解きなおすことにストレスがないのも本作の特徴。いろんなことを試しながら新しい発見をするたびに、このゲームの深みにズブズブはまっていくことでしょう。

 私は「AND」が出てきたところから、「なんじゃこのゲームは!?」となりました。

「WALL」「AND」「BABA」「IS」「YOU」で壁とBABAを同時に動かしているとき、「そんなのありかよ!」という思いと、「このゲーム無限に可能性あるな」という期待感が同時に襲ってきました。

 ちなみにステージは200以上用意されているので、すべてを解き明かした頃にはあなたの脳みそはグニャグニャに柔らかくなっていることと思います。また、それだけ斬新でありながら、スタイリッシュすぎないゆるいデザインもこのゲームの特徴。テキトーに描いた猫、みたいなデザインのBABAもなかなかかわいいです。

 ステージクリア型なので、「今日はこれ解いたらやめよう」と辞めどきが分かりやすい作品だとは思うのですが、私は「もっともっと解かせてくれ!!」と、睡眠時間がガンガン削れていきました。

 なので、この年末年始に腰を据えてプレイするにはぴったりかな、と思います。複雑な操作もないので、ゲーム初心者や謎解き好きにも特にオススメな作品です。

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