■かわいいデザインだけどダークで簡単そうで難しい『ホロウナイト』
続いてご紹介させていただきますのは、オーストラリアのインディーゲームスタジオ「Team Cherry」が開発した、奥深いストーリーと物悲しい世界観が特徴の骨太アクション『ホロウナイト』です。
やり込み要素もあり、DLCを含むすべての要素を網羅しようと思えば100時間をゆうに超える特大ボリュームで、年末年始にじっくりやり込むにはぴったりな作品。それだけ遊べる作品が1500円前後で購入できるなんて、インディーでなければ考えられないお値段ですね。
本作の舞台は、はるか昔に滅びてしまったハロウネストというムシの世界。ダートマウスという集落の地下に主人公が潜っていくことで、この世界に何があったのかを探っていくという物語となっています。話は人(ムシ?)づてに聞いたり、石碑などから断片的に得られる情報を整理していくことで理解していくことになるため、なかなかすべてを把握するのは難しいかもしれませんが、気になる場合は有志の方が考察しているので、参考にしてみてもいいかもしれません。
たしかにストーリーも面白いのですが、このゲームの醍醐味はやはりアクションと世界観。特にアクションはそのかわいらしいデザインとは裏腹にかなりハードです。
エリアごとに大きなステージが用意され、敵を倒しながら進んでいくのですが、序盤はダンジョン内を探索してもアイテムというアイテムもなければ、アクションも斬る、ジャンプする、というくらいで退屈気味。しかし、序盤のボス・ホーネットを倒すとアイテムが手に入りダッシュができるようになるなど、ボスを倒したり、NPCから伝授されたりすることでさまざまなアクションを覚えていきます。2段ジャンプや壁キックができるようになれば探索で行けるところも増えるので、前のエリアに戻ってどんどん奥まで行きたくなってしまいます。あ、こんな隠し通路あったんだ! みたいな発見もアクションゲームならでは。
そしてダンジョンの探索も楽しくなっていくのに比例して、敵もドンドン強くなっていきます。何よりボスが強い。序盤はあっさり倒せると思いますが、徐々に(というか後半急に)難易度が上がり、終盤の誰とは言いませんが初見では技のスピードや範囲が分からず、「こんなん避けれるか!」となるボスもいます。ですが、死にまくることがまったくストレスになりません。
確かに何度も死ぬことになりますが、死んだ際は最後に休んだベンチから再スタート。死んだ場所にカゲが残り、持っていたお金などはそのカゲを倒さないと取り戻せず、カゲにたどり着くまでに死んでしまった場合はそのお金はすべてロストしてしまうなど、死んでからもなかなかハードですがそれでも楽しいんです。
ボスと戦っているときに感じるスピード感と、徐々に動きに慣れて上達しているのを実感するあの感覚はアクションゲームでしか味わえない感覚があり、緊張感と楽しさのバランスが絶妙で、倒したときの達成感もひとしおです。
本作では敵を倒すとソウルゲージというものが溜まっていきます。
このソウルゲージは回復や強力な必殺技を使用する際に消費するものなのですが、ソウルという名前の通りおそらく敵の魂を吸い取ったものだと思うのです。そして、雑魚敵を倒したときには亡骸が残ったり、そのまま地に落ちて破裂したりします。この残酷さはもしかしたら人を選ぶかもしれません。
不気味な洞窟内で聞こえるムシが泣く声や敵を切ったときの音などダークな部分も多く、デザインがかわいらしいのでグロいという印象は受けにくいとは思いますが、一応遊ぶ際には留意しておくと心の準備ができるかなと思います。見た目以上にダークです。
それでも地図を売ってくれる陽気なコーニファーの鼻歌などやっぱりかわいい部分もあり、なんだか憎めないのが本作の世界観。
遊んでて楽しいアクション、骨太な難易度、実は奥深い世界観、かわいらしいデザイン、そして大満足のボリュームなどいいとこ尽くしな本作を遊べばきっと「ほかにもインディーゲームやってみようかな」となると思います。インディーの導入にしてはなかなかハードですが、「ダークソウル」シリーズが好きな方はぜひ遊んでみてはいかがでしょうか。