■ギャグ満載だけど「愛と勇気」を教えてくれた傑作

 本作はまさに「勧善懲悪」の王道ストーリーですが、戦いを通じて敵側の鬼が改心していくという描写が印象深いです。

 ラスボス戦のえんま大王は「勇気など弱い者の寝言だということを思い知らせてやる」と言ってバトルがスタート。戦闘中も、閻魔大王は「これがお前たちの言う“勇気”か!! 弱々しいものよのぉ」「“愛”の力とはその程度のものか」などと、桃太郎をあおってきます。

 ところが戦闘が進んでいくと、次第に閻魔大王のセリフに変化が……。「なぜおまえは人のため命を投げ出せるのだ」「まさかこれが“愛”というものなのか?」と、少しずつ考えが変わっていく描写があるのです。

ラスボスのセリフから心境の変化がうかがえる

 そしてえんま大王を撃破すると「ももたろうは えんま大王をこらしめた!!」というメッセージが流れます。これまでのプレイ中はあまり「こらしめた」という表現を意識していなかったのですが、えんま大王戦で敵の心情が変化し、改心してゆく様を初めて感じ取ることができ、最後の「こらしめた」という文字にグッときたことを覚えています。

 最近は子どもが遊ぶのが心配になるような殺伐としたゲームも多いですが、今こそ『桃太郎伝説』のような「愛と勇気と笑い」に満ちあふれた作品が必要なのかもしれませんね。

(文・まさまさ)

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『桃太郎伝説』懐かしのゲーム画面