かつてゲームセンターで一世を風靡したパンチングマシン『ソニックブラストマン』(タイトー)をご存知でしょうか。従来のパンチングマシンは単純にパンチ力を測定するシンプルなものが多い中、本作は映像による演出を導入。女性を襲う暴漢をぶん殴ったり、大型トレーラーをぶん殴ってベビーカーを守ったりと、ストーリーを楽しみながらパンチ力が計測できるのが特徴。「私のパンチを受けてみろ!」のセリフがやけに耳に残る新感覚の体感ゲームでした。そして1992年9月25日、そんな『ソニックブラストマン』がスーパーファミコンのソフトとなって登場。さすがにスーファミでパンチ力を計測するわけにもいかなかったのか、『ファイナルファイト』(カプコン)のようなベルトスクロールアクションゲームに生まれ変わっていました。
「地球の平和を守るため はるか星の彼方からやってきた 正義のヒーロー その名も……」というメッセージに続き、「SONIC BLAST MAN」というタイトルロゴが「ドドーン」と登場。主人公の正式名は「スーパーソニックブラストマン」。彼の額にはパラボラアンテナ、胸部に時計と謎の液晶のようなもの、ベルトにはなぜかゴングがついている奇抜なファッションをしたアメコミ風のヒーローです。
■敵よりもダサい正義のヒーロー?
ぶっちゃけて言っちゃいますと“ダサい”……とは思いますが、個人的にはこういうデザインはけっこうツボ。ファッションセンス皆無なヒーローが、正義のために奮闘する姿は男心をくすぐられます。とはいえゲーム内で彼のことを「カッコ悪い」と呼ぶ人は出てきませんし、危機を救って感謝されているので、あのゲームの世界では案外受け入れられるファッションなのかもしれません。
そんな主人公とは逆に、敵キャラクターはSFチックなカッコいいデザインが目立ちます。ステージ3の「下水道に発生した生命体を倒せ!!」というミッションでは、半透明のゲル状の生命体が登場したり、映画『エイリアン』に出てきそうな見た目のボスが登場。さらに4面からはロボットも出現し、『ソニックブラストマン』の近未来風の独特な世界観を楽しめます。
主人公のダサさと敵陣営のカッコよさ、この絶妙なバランスこそが『ソニックブラストマン』に引かれてしまう魅力なのかもしれません!