■誰しもが感じたことがある”あの感情”を初めて描いたゲーム『ナイト・イン・ザ・ウッズ』

『ナイト・イン・ザ・ウッズ』プレイ画面より

 最後に紹介させていただきたいのは横スクロール型アドベンチャーゲーム『ナイト・イン・ザ・ウッズ』です。今回紹介させていただく作品の中でもぶっちぎりでおすすめの作品です。

 主人公は大学を中退して実家のあるポッサム・スプリングという田舎町に帰ってきた猫のメイちゃん。「懐かしいなあ」なんて思う気持ちと、どこか田舎を小ばかにしている気持ちが同居している序盤のメイの毒舌はプレイヤーの青い気持ちを呼び起こしてくれるかのようで、20歳前後の頃の自分と重ね合わせてしまうことでしょう。なので、本作をおすすめしたい年齢層はおのずと18歳以上の成人になります。

 町の住人たちとのやり取りはいわゆる「洋画」のノリというか、お互いに軽口をたたきあいながらディスるセリフ回しがオシャレで、会話しているだけでも飽きません。「こんな町がどこかにあるのかもしれない」と思わせてくれるほどその会話はリアルで、かざりっけがないのも特徴です。

 大学を中退して田舎に帰ってきたものの、漠然と将来への不安や何をしたらいいのかよく分からない、田舎にいる当時の仲間たちはしばらく会わないうちにそれぞれに成長していて、なんだか自分だけ置いていかれたような気持になる、そんな経験ありませんか。私は死ぬほどあります。

 大学を卒業して、芸人として全然仕事がなかった20代中盤の頃に、高校時代の同級生の結婚式に呼ばれ出席したときの「自分だけ置いていかれている」という気持ちと「いつか見返してやる」という気持ちが整理できずにモヤモヤしてしまう、あのなんとも言えない感情。まだ言語化されていないであろう”あの感情”をこれでもかとゆさぶってきます。

 それはメイだけではありません。町の人々やメイの家族たちもそれぞれに思い悩み、何かを抱えながらも精いっぱい生きているようでした。

 そんな中、ポッサム・スプリングで失踪事件が勃発し、メイも巻き込まれていきます。はたしてポッサム・スプリングで起きたこの事件の真相とは何なのか。そしてメイや仲間たちはそれぞれに答えを見つけ出すことはできるのか。続きはぜひご自身の目でお確かめください。

 何度も胸が締めつけられ、悪態をつくメイがとても愛しくなっていくことでしょう。動物たちしかいませんが、こんなに人間味にあふれた暖かくも物悲しい物語は他に知りません。“あの感情”をゲームで表現した本作の演出には脱帽です。

 結局どんなゲームなのかよく分からなかったかもしれませんが、仲間たちとベースを弾いたり、ピザを食べたり、メイが書く日記を見たりしているうちに少しずつ分かってくるかと思いますよ。とにかくプレイして「あぁ~分かるわ~」とうなってください。

 以上、4作品を紹介させていただきました。気になるタイトルはあったでしょうか? インディーゲームはどれも安価でかつ遊びやすいボリュームなので、忙しい社会人の方にもぴったりです! 最近ゲームで遊んでないけど、久しぶりにやりたいなと思っている方はぜひともインディーゲームの世界に飛び込んでみてはいかがでしょうか!

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