■想定外の場所につながる欠陥品…「どこでもドア」の気体版「どこでもガス」

 大長編『のび太とアニマル惑星』に登場する「どこでもガス」は、有名な「どこでもドア」の気体版とも呼べるひみつ道具だ。このガスをくぐると異空間を通じて別の場所へと移動できる。さらに、「どこでもドア」とは違って、一度に大勢の人間を移動させられるメリットもあった。

 しかし「どこでもガス」は、目的地とはまったく違う場所につながったり、出口がずれたりする致命的な欠陥があった。加えてガスという性質上、風で流されたり、ガスの残量がなくなると元の場所に戻れなくなるリスクもあったため、発売後すぐに販売中止になったのである。

 作中では、この「どこでもガス」と似た性質を持つ別のガスが登場する。ジャイアンとスネ夫は「禁断の森」でガスの発生機を発見し、勝手にダイヤルを動かした結果、接続先が変わって大騒動を引き起こした。

 いずれにせよ気体によって空間を移動する道具は、その不安定さから製品化すべきではなかったアイテムといえるだろう。

■最高時速で走るとバラバラに!? 危険すぎる欠陥品「最新型自転車」

 てんとう虫コミックス第7巻「未来からの買いもの」に登場する「最新型自転車」は、メーカーが大慌てで回収に奔走するほど、とんでもない欠陥品だった。

 ある日、のび太は未来の「通信販売のカタログ」を偶然目にする。そこに載っていた自転車を欲しいとつぶやくと、実物が目の前に出現。それはひとこぎで100mも進み、最高時速は200km、衝突防止道順記憶装置まで搭載された最新型の自転車だった。

 カタログを見て念じるだけで商品が手に入るため、のび太は調子に乗って家族や友だちにも大盤振る舞い。しかし当然ながらタダでもらえるはずもなく、未来から業者の男がやってくる。その男から逃げるため、のび太とドラえもんは自転車を全速力で走らせるが、その途中で突如車体は空中分解してしまうのだ。

 実はこの自転車には、「最高時速で走っているとバラバラになる」という致命的な欠陥があり、メーカーが急いで回収していた。さらに「あんな物売ったとなれば、わが社の信用にかかわりますので……」と、のび太が購入した商品の代金を無料にする代わりに、欠陥の件を口止めするのだった。

 これは単なる欠陥品騒動というだけでなく、未来でも企業の隠蔽体質が根強く残っていることまで描いた、実に風刺の効いたエピソードである。

 

 今回紹介した販売禁止となったひみつ道具のエピソードからは、未来の科学技術が生み出した道具であっても、欠陥は存在するという一面が見えてくる。これは現代社会においても同様で、新しい技術や便利なサービスにはリスクが潜んでいることを示唆しているようにも思えた。

 

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とっておきドラえもん ぞくぞくぶるるホラー編 (てんとう虫コミックス)
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