藤子・F・不二雄さんの『ドラえもん』には、ドラえもんの四次元ポケットからさまざまな「ひみつ道具」が登場し、野比のび太たちの日常を彩っている。ただ、これらの道具は必ずしもドラえもんが持っているわけではなく、時には「未来デパート」という22世紀のデパートから送られてくることもあった。
しかし、未来デパートのひみつ道具には欠陥品も少なくない。のび太の部屋に間違って届けられ、ドラえもんが「あとで送り返してやる」と憤る場面も作中ではたびたび見られる。
作中では、その危険性や致命的な欠陥から、未来の世界で発売禁止や回収騒ぎに発展した「いわくつきの商品」がいくつも描かれていた。
今回は未来デパートが発売禁止・回収措置に踏み切った「危険すぎるひみつ道具」を紹介したい。
※本記事には作品の内容を含みます。
■恐怖のミュータントが誕生し国連軍が出動!? 「人間製造機」
てんとう虫コミックス第8巻に登場する「人間製造機」は、未来の新世界デパートから誤って送られてきたひみつ道具で、その名の通り人工的に人間を作り出す機械だ。
ある日、何かすごい物を作ろうと思い立ったのび太は、ドラえもんの言うことを聞かずにこの機械を起動させてしまう。
人間を作るための材料は、石けんや釘、マッチや水といった身近なものばかり。幼い頃の筆者は、これで本当に人間ができるのかとワクワクした記憶がある。しかし、これで製造された人間は、凄まじい超能力を持つミュータントになってしまうのだ。
過去には、製造されたミュータントたちが人類を征服しようと大暴れし、国連軍が出動するほどの大惨事を引き起こしていた。そのため「人間製造機」は販売中止となり、ドラえもんも返品するはずだった。だが、のび太が勝手にミュータントを創り出してしまい、そのミュータントはしずかを電撃で処刑しようとするなど、手に負えない凶暴性を見せた。
最終的にドラえもんが「逆時計」で時間を戻したことで事なきを得たが、「人間製造機」は絶対に販売してはいけない危険すぎるひみつ道具といえるだろう。
■言葉に反応して暴走! コントロール不能の「空飛ぶうす手じゅうたん」
てんとう虫コミックス第29巻に収録されている「空飛ぶうす手じゅうたん」は、一見すると『アラビアンナイト』の世界を体験できる道具に見える。しかし、この道具はもともと1枚の布地であり、のび太がしずかにプレゼントして、彼女がそれで手作りの服を仕立てたことで悲劇が始まった。
この道具は「飛ぶ」「あがる」「うかぶ」といった言葉に反応し、使用者の意思とは無関係に空中に飛び上がる特性を持っている。しかもコントロールがまったく利かないという欠陥が発覚したため、販売中止になっていた。
だが、そんな事情を知らないしずかは、この布で作った服を着て外出してしまう。作中では彼女が「飛ぶ」といった言葉を耳にしそうになるたび、のび太たちが慌ててそれを阻止しようと奔走するコミカルな様子が描かれている。
最終的にはしずかが自ら「飛ぶ」という言葉を口にし、その瞬間、服が脱げて、布だけが空へと飛んで行ったため大事には至らなかった。
この「空飛ぶうす手じゅうたん」は、スカーフにして首に巻きつけるだけでも体が浮き上がってしまう。使い方次第では便利な道具になりそうだが、安全性が担保されない以上、ただの凶器になりかねない恐ろしい代物だ。


