■悟天を育てた最初の師匠…受け継がれた武道家の資質

 結婚後のチチは家庭を守る立場となり、自ら戦う機会は大きく減少。それでも随所で彼女が見せる動きからは、武道家としてのたしかな実力が感じられた。

 その一端が描かれたのが、1989年公開の劇場版『ドラゴンボールZ』である。悟飯ごと四星球を奪いに現れたガーリックJr.の部下、その名も「ガーリック3人衆」により、父・牛魔王が一撃で倒されるなか、チチは我が子を守るために迷わず身構えた。力の差は大きく、衝撃波を受けて倒されてしまうものの、強敵を前にしても一歩も引かずに応戦しようとする姿が描かれている。

 そして、チチの武道家としての経験が最も生かされたのが、次男・悟天の育成である。

 長男・悟飯には勉強を優先させ、武術の修行に否定的だったチチだが、悟空がセルゲームで亡くなった後に考えが変わったのか、悟天には自ら武術を教えるようになった。

 アニメ第206話で描かれた組み手のシーンにおいて、チチの俊敏な動きは健在だった。しかしその最中、悟天がいきなり超サイヤ人に覚醒し、チチをそのまま蹴り飛ばしてしまう。

 相手が子どもとはいえ、超サイヤ人の蹴りは常人なら致命傷になりかねない。しかし、チチは「いたたた」と声をあげる程度の軽傷で済み、その頑丈さもまた規格外であることが示された。

 だがその一方で、「不良みたいだから」という理由で超サイヤ人になることを禁じたあたりは、教育ママとしての一面が表れており、いかにもチチらしい。

 

 チチは「怒ると怖い教育ママ」という印象が強いが、第23回天下一武道会でのベスト8進出や、亀仙人に迫る戦闘力「130」という数字は、彼女のたしかな実力を証明している。その実績を見るかぎり、まぎれもなく地球人屈指の武道家といえるだろう。

 悟飯や悟天が秘めた計り知れない才能は、サイヤ人の血筋によるところが大きいが、その土台を作ったのは間違いなく母・チチである。彼女は規格外の一家を強さと愛情の両面で支え続けた、重要な人物だった。

 

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