■卓越した頭脳で窮地を乗り越える、静かなる殺人鬼…「吉良吉影」
第4部は、これまでのシリーズとは雰囲気が異なり、杜王町という町で起こる奇妙な出来事、そして、そこに潜む巨悪との攻防を描いた物語だ。
この4部のラスボスこそが、町に潜む殺人鬼・吉良吉影である。ふだんは大人しいサラリーマンとして暮らしているが、定期的に湧き上がる殺人衝動により、多くの人間の命を奪ってきた。
植物のように穏やかな暮らしを望む反面、女性の美しい手を収集するために殺人を繰り返すという、異常な嗜好を持つ人物として描かれている。
そんな彼が長年、殺人の証拠を抹消し、完全犯罪を続けてこられたのは、自身のスタンド「キラークイーン」の能力のおかげである。この「キラークイーン」は、触れたものをどんなものでも爆弾に変え、物体はもちろん、人間の肉体も粉微塵に変えることができる。
しかも、爆弾にはいくつか種類があり、第2の爆弾である「シアーハートアタック」は、相手をどこまでも追尾して爆破する能力を持つ。その執拗さ、破壊力は、第3部で主人公を務めた空条承太郎さえ、一時戦闘不能に陥らせるほどだった。
物語終盤、ついにその正体がバレかけるも、彼は新たな能力「バイツァ・ダスト」を発現させ、このピンチすら突破してしまう。
その能力は、特定の人物に憑りつき、吉良の正体を探ろうとした人間を自動的に爆殺、時を巻き戻してすべてをなかったことにするという恐ろしいものだった。
彼自身はただの人間なのだが、凶悪なスタンド能力と、それを最大限に使いこなして窮地を切り抜ける狡猾さは唯一無二だろう。異常な嗜好を持つ殺人鬼でありながら、卓越した頭脳でそれを遂行し続ける、シリーズの中でも異色の強敵であった。
『ジョジョの奇妙な冒険』の各シリーズに登場するラスボスたちは、いずれも他のキャラとは一線を画す能力で主人公たちに立ちはだかった。
悪の帝王、究極生命体、狡猾な殺人鬼……いずれもその凶悪な能力と凄まじい存在感で、読者にも絶望感を植えつけてきた。身体面、能力面、知能面など、さまざまな角度から「最強」のかたちが描かれている点も、『ジョジョ』シリーズならではの魅力かもしれない。
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