ドラマ『良いこと悪いこと』全話を観返してわかった「犯人たちの動向」 第1話から「紫苑」の重要伏線も…の画像
ドラマ『良いこと悪いこと』(C)日本テレビ

 12月20日に最終回を迎えたノンストップ考察ミステリー『良いこと悪いこと』(日本テレビ系)。“小学校時代のいじめ”を発端とする連続殺人事件の物語の行く末は、視聴者にさまざまな感慨を呼び起こした。

 数々の伏線が張り巡らされ、何気ない会話や描写も“ヒント”となってきた本作。すべての真相が判明した後に、あらためて第1話から観返してみると、何もわからなかった“1周目”とは異なる、多くの発見があった。中には、「そういうことだったのか!」とかなり驚かされた描写もあった。

 犯人たちはあのとき、どんなことを語り、どんな行動を取っていたのか。今回は、2周目の視聴だからこそわかった「本作の伏線」をまとめてみたい。

※本記事は『良いこと悪いこと』全話の内容を含みます。

■こんなにあった“重大ヒント”

 本作の重要な伏線は、実は第1話の時点から確認できた。

 一連の殺人事件は、警視庁捜査一課刑事・宇都見啓(木村昴さん)と、猿橋園子(新木優子さん)の同期である『アポロ編集部』の記者・東雲晴香(深川麻衣さん)、そしてレトロスナック・イマクニの店主である今國一成(戸塚純貴さん)の3人が計画・実行したものだった。

 この3人に注目して第1話を観ると、すでに重大なヒントがいくつも散りばめられていたことに気付く。

 まず、「キング」こと高木将(間宮祥太朗さん)が「貧ちゃん」こと武田敏生(水川かたまりさん)、「カンタロー」こと桜井幹太(工藤阿須加さん)とともにイマクニで酒を酌み交わす場面。

 彼らが園子の陰口を叩く中、画面の奥にいる宇都見は真剣な様子で何かに没頭している。初見時はどうしても高木たちに意識が向くため、特に気にしていなかった視聴者も多いだろう。

 また、じっくり見てみたところで宇津見の手元は映っておらず、何をしているのかはよくわからない。しかし注意深く耳を澄ますと……ピアノの音、しかもパッヘルベルの『カノン』がうっすら聴こえてくるのだ。

 この『カノン』は、小学校時代に高木たちがいじめていた瀬戸紫苑(大後寿々花さん)にとって大切な曲であり、婚約者である宇津見が彼女の追悼コンサートで演奏した曲でもある。

 また、第9話の回想シーンでは、2人がイマクニにあるロールピアノで楽しそうに連弾するシーンもあった。第1話、談笑する高木たちを横目に、宇津見はこのピアノを弾きながら、紫苑に想いを馳せていたのではないだろうか。

 なお、イマクニの店内シーンでは、犯人解明のカギとなった「コースター」も大きく映し出されていた。最終話で明かされた通り、コースターに記された「IMAKUNI」の「I」は、紫苑と東雲、今國が通っていた「タクト学園」の校章を模したもの。作中でたびたび登場していることから、キーアイテムであることはうかがえたが、第1話の序盤ですでに意味深に描かれていることには驚かされた。

 また、第1話には、東雲に関する重要伏線もあった。

 彼女は武田が転落死したことについて、園子に「空を飛ぶことが夢だった子が落ちて死ぬとは皮肉だね」と話していた。しかし、この「夢の絵」の内容は本来、同窓会に出席した者や学校関係者でなければ知りえない情報である。この時点で、無関係な東雲が把握しているのはおかしいのだ。

 こうした何気ない序盤のセリフにヒントが隠されているのだから、まったく油断できない。

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