■再び浮上した“真犯人候補”たち

 この「真犯人」に深く関わってきそうなのが、第9話で新たに出てきたキーワード、いじめに遭った紫苑が学校に行けなくなった後に通っていたという施設「タクト学園」だ。

 タクト学園は、Huluで公開された9.5話「犬」のラストにも少しだけ登場する。本エピソードでは、幼い頃の高木たちが川で犬を助けた思い出話が描かれており、その後、犬が引き取られていったのがこの施設だった。

 そして、犬を囲む子どもたちの中に、口元にほくろがある少女がいた。実は登場人物の中にも、この少女と同じく、口元にほくろがある女性がいる。園子の同僚の記者・東雲晴香(深川麻衣さん)だ。

 他にも、東雲と紫苑のつながりを匂わせる描写として、第9話のオープニング映像がある。そこには「誰かがピアノを撫でるシーン」が映っており、このピアノが紫苑を象徴するものと考えられる一方、撫でている手には指輪が確認できる。この指輪が東雲がふだんつけているものと非常に似ているのだ。

 ちなみに東雲は、第1話で「貧ちゃん」こと武田敏生(水川かたまりさん)の事件について、「空を飛ぶことが夢だった子が落ちて死ぬとは皮肉だね」と発言。なぜか同級生しか知りえない絵の内容を知っていた。さらに、小山が最初に狙われたときに不審な行動を見せていたこともあり、序盤から疑いの目を向けられていた存在でもあった。

 そして第9話で、紫苑とタクト学園の関係が明らかになったことで、あらためて東雲が真犯人候補に挙げられる人物に浮上したのだ。

 そして同じくもう1人、タクト学園とのつながりが疑われる人物がいる。レトロスナック「イマクニ」の店主である今國一成(戸塚純貴さん)だ。

 実は以前から、劇中で映る店のコースターに書かれた「IMAKUNI」ロゴの最初の「I」が「T」になっていることが注目を集めていた。そんな中、第9話に登場したタクト学園の校章がこの「T」と酷似。さらに、学園に飾られていた大きな「太陽の絵」が、イマクニの店の看板に描かれている太陽のイラストとそっくりだったのだ。

 第9話のラストに、幼い頃の紫苑がピアノを弾きながら両脇に向かって微笑むシーンがあり、ここから紫苑と仲良しだった子どもが“2人”いたことが示唆されている。もし東雲と今國がタクト学園の関係者であるとすれば、この2人が事件に深く絡んでいてもおかしくない。

 なお、東雲と今國は第6話で顔を合わせており、東雲が名刺を渡して挨拶をしていた。まるで初対面であるかのようなそぶりだったが、もし上記の説が正しかった場合、これは演技ということになる。2人の動向が最終話最大の注目点となるのは間違いない。

 

 今回取り上げた以外にも、「高木がやたら気にしていた水死体」、「随所に存在をちらつかせる薬物」、「小山にまつわる黒い噂」など、まだ回収されていない意味深な描写は数多い。これらが事件の真相と絡んでくるのか、それともミスリードを誘う要素に過ぎないのか。最終話で、すべての謎が明かされることだろう。

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