見ただけで欲しくなる斬新デザイン…「早すぎて時代に合わなかった」携帯ゲーム機の悲哀【ハードオフ大竹店長の「レトロゲームちょっといい話」】の画像
『PSP go』(写真/ふたまん+)

 数万円から数十万円の値段がつくこともある「レトロゲーム」の世界。そんなソフトがズラリと揃う『ハードオフTOKYOラボ吉祥寺店』の店長にして、自身も大のゲームコレクターである大竹剛氏が、毎回1本のソフトを語るこの連載。今回、ショーケースに並ぶソフトの中から取り上げるのは——?

■液晶モニターをスライドさせるとコントローラーが現れる!

『ハードオフTOKYOラボ吉祥寺店』大竹剛店長(写真/ふたまん+編集部)

ハードオフ大竹店長の「レトロゲームちょっといい話」第28回

 

 『ハードオフTOKYOラボ吉祥寺店』の店長、大竹剛です。今回紹介するのは「ゲーム機」です。2009年の発売のハード、『PSP go』です。2004年に発売されたソニーの携帯型ゲーム機『プレイステーション・ポータブル(PSP)』の派生機種で、レトロゲームという括りには入らないと感じる人もいるかもしれませんね。

 本体はPSPよりずっと小さくて、スマホにも近いサイズ。PSPと違って、方向キーやボタンが配された左右の部分がありません。では、どうやって操作するのかというと……液晶モニターがスライドする構造になっていて、下からコントローラーが出てくるんです!

 このギミックも含めて、『PSP go』はデザインがいいですよね。薄型なのでボタンのストロークが浅くて、お世辞にも遊びやすいとは言えませんでしたが(笑)、今見てもすごくかっこいい。PSP自体も、ガジェットとしてかっこよさを大事にしていたように思えるんですけど、その最終形態がコレなんだと納得できる、スタイリッシュなカタチをしています。

 そもそも、こんなハードが出ていたことをご存知ないって人もいるのではないでしょうか。実は『PSP go』、発売から2年も経たないうちに生産終了となっているんですよ。あまり売れなかったんでしょう、圧倒的に数が少なくて、買取に持ち込まれることもめったにありません。

 当店では現在、箱と取扱説明書の揃った完品を3万9600円(税込)で販売しています。ただ、発売当時の定価が2万6800円だったので、そこまで極端に高額化している感じではありません。

■時代を先取りしすぎたダウンロード専用ポータブルゲーム機

 『PSP go』が売れなかったのは、「早すぎたから」というのが大きいんじゃないでしょうか。先代のPSPでは、UMD(ユニバーサル・メディア・ディスク)という光ディスク媒体を採用していました。これ自体も十分目新しかったのですが、『PSP go』では使えません。小型化のためにディスクドライブを廃止したんです。

 では、どうやってゲームを遊ぶかというと、プレイステーションストアでソフトをダウンロードするんです。今でこそ市民権を得た……というか、むしろダウンロードのほうが当たり前という世代のゲーマーもいるくらいかもしれませんが、2009年といえばまだ『プレイステーション3』の時代。まだ、パッケージソフトによる供給が王道でした。

 当時のダウンロード販売に関しては、まだ記録媒体の容量の問題もありましたし、実物のソフトが手に入らないという心理的な抵抗もありました。中には、ダウンロードでは販売されないタイトルもありましたよね。

 私自身、ハードのデザインにはものすごく惹かれていたんですが、ダウンロードのみというところがやっぱり受け入れられなくて、購入しませんでした。でも生産が終了して、もう手に入らない状況になって、「これは買わなきゃダメだ」と決意し、中古で手に入れたんです。もう、ソフトのダウンロードはできないので、ただの飾りになっていますけどね(笑)。

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