第76回エミー賞で史上最多の18部門を制し、第82回ゴールデングローブ賞で4部門を受賞した2024年放送の真田広之さん出演ディズニープラス時代劇ドラマ『SHOGUN 将軍』。そのSeason2の制作が正式に決定し、11月19日にはSnow Manの目黒蓮さんが出演キャストに加わることが発表された。
オーディションを勝ち抜いた目黒さんは、本作でついにハリウッドデビュー。2026年1月からは、カナダ・バンクーバーで本格的な撮影に臨む予定だ。
目黒さんは近年、次々と話題作に出演し、俳優としてのキャリアを着実に伸ばしてきた。現在も、TBS系で放送の日曜劇場『ザ・ロイヤルファミリー』で耕造の隠し子であり物語の鍵を握る中条耕一を好演し、その情感豊かな演技が高く評価されている。今回は、そんな目黒さんがこれまでに出演した名作ドラマを振り返ってみたい。
■手話と表情で感情が完璧に伝わった『silent』
2022年10月からフジテレビ系で放送された『silent』(フジテレビ系)は、泣ける名作として幅広い世代から愛され、俳優・目黒蓮の評価を一気に高めた作品のひとつだ。
音のない世界で再会を果たす川口春奈さん演じる青羽紬と、目黒さんが演じる元恋人・佐倉想。切なくも温かい二人の恋物語は、Official髭男dismによる主題歌「Subtitle」と相まって大きな話題を呼び、多くの視聴者を惹きつけた。
想は、少しずつ耳が聞こえなくなっていく若年発症型両側性感音難聴によって音を失った青年だ。その事実は彼の心に重くのしかかり、高校時代に付き合っていた紬の前から姿を消し、8年後に再会しても心を閉ざしたまま。目黒さんは、第1話からそんな想の感情が表情の変化で丁寧に表現されていた。
何も知らずに話しかけてくる紬に、強張った顔のまま応じる想。やがて涙をこらえながら、「いつか電話もできなくなる。一緒に音楽も聴けない、声も聞けなくなる。そうわかってて一緒にいるなんてつらかった」と胸の内を手話でぶつける。その息遣いと歪んだ表情からは彼の抱えてきた苦しみが痛いほど伝わり、胸が締めつけられてしまう。この切ない再会シーンは、多くの視聴者の心をつかむ名場面となった。
作中で目黒さんはすべての会話を手話で行い、あらゆる感情を表情と仕草だけで表現している。実は手話との出会いは『silent』以前の2021年、舞台『滝沢歌舞伎』で披露した楽曲に手話を取り入れたことがきっかけだったという。
ゆえに少し知識があったとはいえ、ドラマで自然に使えるほどに仕上げるには相当な努力が必要だったはず。しかし目黒さんは「楽しみながら学んでいる」とインタビューで笑顔を見せ、作中でも苦労を思わせないほど完璧な表現をしてみせた。難しい役柄に真摯に向き合い、表情と手話が生み出した温かな余韻は今も多くの視聴者の心に残っているのではないだろうか。
■航空エリートを熱演したNHK連続テレビ小説『舞いあがれ!』
アイドルとしてはもちろん、役者としてのフィーバーが止まらなかった2022年。目黒さんは『サイレント』と同時期に、10月から放送が始まったNHK連続テレビ小説『舞いあがれ!』で、朝ドラ初出演を果たしている。
本作は、空に憧れる主人公・岩倉舞(福原遥さん)が、パイロットを目指して成長していく物語。目黒さんが演じたのは、舞が航空学校で出会う柏木弘明という青年だ。
柏木は、パイロットと元CAの両親に育てられ、自らもパイロットを志した。冷静沈着だがプライドも高く、同期の舞たちに「慣れ合うつもりはない」と言い放つなど、一言でいえば“いけ好かない奴”という印象の人物だ。
しかし、懸命に努力する仲間たちと過ごすうちに次第に心を開き、舞に恋心を抱くようになる。そして、守衛の目を避けて潜り込んだ机の下で「お前のことが好きだ」と告白する。真剣な眼差しと照れくさそうに言葉を探しながら想いを伝える表情に、視聴者も思わずドキッとしたことだろう。
目黒さんは、普段テレビで見せる笑顔の優しいキャラとは違い、クールな眼差しで弘明を熱演。さらに『silent』とは異なる幸せに満ちた表情で、舞との恋を演じた。『silent』での恋があまりに切なかったこともあり、その対照的な表情のギャップに驚く声も多かった。しかし、その振れ幅こそが目黒さんが役者として多彩な表情を持つことを印象づけている。
また、パイロットという未知の世界の役に挑むにあたり、目黒さんは本格的に役作りに取り組んだ。講習を受けて航空機操縦練習許可書を取得し、実際に操縦体験に参加。そこで水平飛行だけでなく旋回まで自ら行ったという。こうして目黒さんは、朝ドラ初出演とパイロット役の挑戦を通して新たな境地を切り開き、俳優の可能性の広さを改めて示した。


