『独眼竜政宗』『秀吉』『篤姫』も…昭和末期と平成の最高視聴率を誇った「大河ドラマ」の輝きの画像
宮﨑あおい  写真/ふたまん+編集部

 現在放送中の『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』をはじめ、数々の名作を生み出してきたNHKの大河ドラマ。メディアが多様化した現代において高視聴率の獲得は容易ではないが、かつては違った。特に昭和の時代には視聴率が40%に迫るような作品もあり、日曜の夜8時には家族そろって大河ドラマを見る家庭も多かったのである。

 そこで今回は、大河ドラマの全盛期ともいえる1980年代から2000年代にかけて、特に視聴率の高かった作品を年代ごとに振り返りたい。

 

※本記事には各作品の内容を含みます

 

■平均視聴率39.7%! 空前のブームを巻き起こした80年代の英雄『独眼竜政宗』

 1980年代に最も高視聴率を出した大河ドラマは、1987年に放送された『独眼竜政宗』だ。平均視聴率39.7%、最高視聴率47.8%という、現代では考えられないほどの驚異的な記録を打ち立てた作品である。

 主演を務めたのは、当時27歳であった渡辺謙さん。戦乱の時代に生まれた伊達政宗の波乱万丈な生涯を、若き日の渡辺さんが凄まじい熱量とカリスマ性で演じ切り、一躍国民的スターへと駆け上がった。

 本作にはこのほかにも、北大路欣也さん、勝新太郎さん、津川雅彦さんといったそうそうたる豪華俳優たちが出演している。

 本作の見どころは、政宗が過酷な運命に抗いながら成長していく様子や、有能な家臣たちに支えられて奥州の覇者へと上り詰めていく過程にあるだろう。また幼少期の政宗のセリフ「梵天丸もかくありたい」というセリフは、ドラマのヒットと共に当時大流行した。

 伊達政宗は豊臣秀吉徳川家康といった誰もが知る天下人とは異なり、最終的には仙台藩の初代藩主として生涯を終えた人物である。しかし、現在においても歴史上の人気な人物として常に上位に挙げられるのは、本作が少なからず影響していると言えるだろう。

■戦国時代の人気者を魅力的に描いた! 平均視聴率30%超えの90年代表作『秀吉』

 90年代に入ると、大河ドラマの視聴率はやや落ち着きを見せるが、そんななかでも高視聴率を記録したのが、竹中直人さんが主演を務めた1996年放送の『秀吉』だ。

 本作の最大の魅力は、竹中さんが見せたエネルギッシュかつコミカルな演技にあるだろう。農民の家に生まれた日吉(のちの秀吉)が、貧しいながらも高い行動力で人々を惹きつけ、天下人まで上り詰めていく様子に、当時見ていた筆者も目が離せなかった。

 当時の時代劇では、端正な俳優がスマートな将軍を演じることが多かったが、『秀吉』は竹中さん独自の“怪演”ともいえる演技によって、これまでにない人間味溢れる秀吉像を見せてくれた。

 ピンチのときに秀吉が口にする「心配ご無用!」のセリフは、1996年の当時の流行語に選ばれるほど人気を博した。また、渡哲也さん演じる織田信長が、本能寺の変で自ら首を掻き切る壮絶な最期も、視聴者に強烈なインパクトを与え、大河ドラマ史に残る名シーンとなっている。

  泥だらけの農民から天下人へと駆け上がるサクセスストーリーは、バブル崩壊後の閉塞感が漂い始めた1990年代の日本において人々に希望を与えたといえるだろう。『秀吉』は、平均視聴率30.5%、最高視聴率37.4%という功績を残した。

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