■存在するだけで脅威「トラキア776」のサイアス
最後に、動かないのにそこにいるだけで脅威になるという特殊なタイプの強敵として、『ファイアーエムブレム トラキア776』(1999年)のサイアスを紹介したい。
彼は22章「渡河作戦」で敵として登場する。実際に攻撃してくることはほとんどない。だが、彼が戦場にいるだけで敵全体の戦力が底上げされてしまうのだ。どういうことかというと、『トラキア776』では特定のキャラに「指揮レベル」という数値が存在している。この数値は星の数で表され、星1つにつき自軍のキャラ全体の命中率と回避率にプラス3パーセントの補正がかかるのである。
そしてこのサイアスの指揮レベルは驚異の10。つまり彼が戦場にいるだけで敵全体の命中率と回避率が30パーセントも上昇してしまうのだ。
たかが30パーセントというなかれ。回避率が重要となるこのゲームで、命中率・回避率が30パーセント上昇することは戦局を大きく左右しかねない。
たとえば遠距離攻撃できるロングアーチという敵がいるが、遠距離のため通常であれば命中率はかなり低いのだが、サイアスがいるだけで「めちゃくちゃ当たる」驚異的なユニットになってしまうのである。
戦場の空気を一変させるサイアスではあるが、幸いにして途中で離脱する。だが、それまではこちらの攻撃が届かない距離から延々と攻撃を食らい続けるため、いかにやられないか防戦一方の戦いを強いられてしまうのだ。
なお、その後の進め方次第では、実はこのサイアスを仲間にすることができるルートも存在する。だが、仲間になったときには指揮レベルは3にまで下がってしまっているため、指揮レベル10を期待していた当時のプレイヤーは「そりゃないんじゃない?」とがっかりしたはず。
以上3人のキャラはそれぞれ違ったタイプだが、いずれもたった一人で戦局を左右するほどの能力の持ち主。実際の合戦でも、このようにカリスマ性のある強力な人物の存在が大きく歴史を変えてきたのかもしれない。


