■アレンジ? 改変? 原形をとどめなかった移植作
続いて紹介するのは、パソコンゲーム『ザナドゥ』(日本ファルコム)のファミコン移植版『ファザナドゥ』(ハドソン)です。
『ザナドゥ』といえば、パソコンで空前の大ヒットを記録した伝説のアクションRPG。当時の子どもには手が出ない高額なパソコンを持っている人しか遊べなかった、まさに憧れのタイトルでした。
それがファミコンに移植されると聞いて、多くの子どもが期待したのは言うまでもありません。しかし、ハドソンの手がけたファミコン版『ファザナドゥ』は、パソコン版とは似ても似つかぬものでした。
ダークな雰囲気のグラフィックスに、なぜかリアルな頭身になったキャラクター。『ザナドゥ』ならではのパズル的な要素がなくなり、シンプルな横スクロールのアクションゲームに生まれ変わります。
全然違うグラフィックに愕然としましたが、遊んでみるとこれが意外にも面白い。『ザナドゥ』の移植作という先入観をなくしてプレイすれば、『ファザナドゥ』は非常によくできたアクションRPGだったのです。
広大な世界樹のなかを探索し、敵を倒してレベルアップ。装備やアイテムを整えて先に進むアクションとRPGの良いところがうまく噛み合い、今遊んでも十分楽しめます。
本家『ザナドゥ』を期待した人はガッカリしたかもしれませんが、ファミコンのオリジナルアクションだと思えばおもしろい作品でした。むしろ完全に別のタイトルがついていたら、評価は大きく変わっていたかもしれません。
■スーファミ版よりすごい!? 伝説のベルトアクションがアクションRPGに!
重厚な打撃音と迫力ある動きでアーケードゲームファンのハートを鷲づかみにした伝説のベルトスクロールアクション『ファイナルファイト』(カプコン)。
スーパーファミコンやメガCDなどに移植されて、こちらも好評を博しました。その『ファイナルファイト』が、実はファミコンにも移植されていたことをご存知でしょうか。
スーファミ版やメガCD版よりも後の1993年6月に発売された移植作の名は『マイティファイナルファイト』(カプコン)でした。
リアル頭身だったキャラは、ファミコン版では2頭身にデフォルメされ、ストーリーも少しコミカルにアレンジされています。
それに加えて敵を倒すことで経験値がたまり、レベルアップする要素が追加。攻撃力がアップしたり、新しい技が使えるようになったりと、まるでRPGのような要素がプラスされていたのです。
さらにファミコン版では、スーファミ版では実現できなかったハガー、コーディ、ガイの3キャラが、1本のソフトですべて使用可能。ただし、本家『ファイナルファイト』の醍醐味である二人同時プレイはできなくなりました。
いろいろ変更点は多いのですが、アクションゲームとしての出来栄えは秀逸。軽快なアクションと十字ボタンとの組み合わせで繰り出す多彩な攻撃は健在で、見た目こそ違いますがアーケード版にも匹敵する楽しさが味わえました。
現在のゲーム機はファミコン時代とは比べものにならないほど性能が上がり、アーケードゲームも完全移植できる時代です。そのため今のゲームしか知らない人は、他ハードからの移植のクオリティに一喜一憂……なんて経験もないのかもしれませんね。
ファミコン世代の皆さんにとって思い出深いファミコンの移植作品といえば、どのようなタイトルを思い浮かべるでしょうか。