実写シリーズにおける泉京香の役割
──「岸辺露伴は動かない」の実写版シリーズで、原作と大きく違う要素に、岸辺露伴の担当編集者である泉京香の登場が多い点がありますね。露伴とコンビのような立ち位置にいます。
小林:最初の時は、シリーズがこんなに長く続くとは考えていなかったんですね。最初の3話だけのつもりでした。ですが、視聴者と露伴をつなぐ存在、また、3話をつなぐ存在が必要になったので、編集者である泉京香を使ったんです。それで当初は、セオリー通りに京香が、露伴の「ヘブンズ・ドアー」という能力を知っていくというような感じで考えていたんです。
──しかし、現在までのところ、そうはなっていませんよね?
小林:はい。実はシリーズが重なるにつれて、「やっぱり泉京香は、露伴の特殊な能力を全く知らないからいいんだ」という考えになったんです。コンビとしてはちょっと異例なのですが、能力や事件についても真相を全然知らないままでいる。そんな存在で居続けることで、緩衝剤にもなり、視聴者への説明役にもなる。それに、露伴がモノローグばかりをしなくてもよくなります。ということで、露伴と京香だけがシリーズを通してレギュラーなんです。それで、1話完結としてやっていくということがシリーズの構成として決めていることです。

──最初はシリーズ化するとは思っていなかったということですが、高橋一生さん、飯豊まりえさんが出ている実写版の世界が好きだけど原作は読んでいないという人、ドラマで岸辺露伴を知ったという人も多いと思います。
小林:確かに、実写から知ったという方もいらっしゃると思います。漫画と実写ドラマとでは、見た目がもうどうしても違いは出ます。ただし、根幹にある岸辺露伴という存在は原作に則っているので、独自にシリーズとして全然違う方向に走っているっていう感じはたぶん、ないと思っています。