高橋一生の演技と、脚本家としての距離感
──どのように膨らんだかは映画の大きな見どころでもありますね。ところで、実写版の「岸辺露伴は動かない」シリーズは、やはり主演の高橋一生さんの存在が大きいと思います。こうしたシリーズ作品の場合、俳優の顔や芝居が脚本に影響を与えることはあるものですか?
小林:高橋さんの露伴の喋り方とかはその最初のシリーズで固定したので、「ああいう露伴だ」というイメージはあります。飯豊まりえさんの京香も、ああいう顔でこんな感じで喋るっていうのがありますね。
それはあるんですけど、そこが影響して何かを変えるということはないですね。私が脚本を書く際は、“岸辺露伴を書く”ということが根底にあります。私が見る限りは、演じる高橋さんも、役を自分のほうにだけ引き寄せないで、あくまでも岸辺露伴という人物を探求されているのではないかと思います。
──そうすると、執筆中は、原作のビジュアルや、演じる俳優の顔が浮かばないのですか?
小林:映像として考えてはいるんですよ。でもそこも具体的な顔がハマっているかっていうと、そうでもない……。 自分でもちょっとよくわからないですね(笑)。不思議です。
