■ギャグテイスト溢れるアクション&ミニゲーム『燃える!お兄さん』
次は、1989年に東宝から発売されたファミコンソフト『燃える!お兄さん』を紹介する。原作は、1987年から1991年まで連載された、佐藤正氏の漫画だ。
“お兄さん”こと主人公の国宝憲一は幼いころに山ではぐれ、長い間行方不明だったが、突如空手の達人として帰ってくる。山育ちで都会の常識を何一つ知らないため、毎回さまざまなトラブルを引き起こす……という、ハイテンションなギャグ漫画だった。
ファミコンソフト『燃える!お兄さん』は、原作を活かした横スクロールのアクションゲームだ。国宝のほか、原作で人気の火堂害、ロッキー羽田、不知火明を操作。シューティングやレースなどのミニゲームも満載だった。
このソフトはギャグ要素も強く、一例を挙げると、オープニングのサイコロのゲームで勝つと、なぜか突然“ハッピーエンド”というゲームオーバーになってしまうことや、ラスボス“ドラ・ゴン”戦のコマンドバトルもほぼ運で勝敗が決まることなど、ゲームとしてはかなり不条理な仕様となっている。
このあたりを受け入れられるかどうかが、このソフトを楽しめるかのポイントになるかもしれない!?
■なかなか高難易度! セクシーシーンも…『まじかる☆タルるートくん FANTASTIC WORLD!!』
最後は、1991年バンダイから発売された『まじかる☆タルるートくん FANTASTIC WORLD!!』を紹介する。
1988年から1992年まで連載された江川達也氏『まじかる☆タルるートくん』は、魔法幼稚園に通う自称“大魔法使い”のタルるートと、イジメられっ子でスケベなダメ小学生・江戸城本丸が繰り広げるギャグ漫画だ。マスコットのようなかわいいタルるートが目を引く一方、セクシーなシーンも多くそのあたりも人気の秘密だった。
ファミコンソフト『まじかる☆タルるートくん FANTASTIC WORLD!!』は、オーソドックスな横スクロールのアクションゲームである。主人公のタルるートを操作し、魔法のアイテムや伸びる舌を使って全8ステージクリアを目指していく。
邪馬じゃば夫、伊知川累、原子力などお馴染みのキャラも登場。そして、ヒロイン・河合伊代菜については原作の魅力を活かした、ちょっとセクシーなシーンもある。ちなみに、2021年に新しく発見された裏技で、伊代菜が水着を着用している画面で2PコントローラーのBボタンを147(いよな)回押すと、なんと一糸まとわぬ姿を見ることができることが発覚。ファンは大いに盛り上がった。
見た目こそポップでかわいいが、後半に行くほど難易度があがりプレイヤーの腕が試されるゲームであった。
『まじかる☆タルるートくん』は、翌1992年には『1』を踏襲した『まじかる☆タルるートくん2 まほうだいぼうけん』も発売されている。この2本のほか、ゲームボーイ、スーパーファミコン、ゲームギア・メガドライブなど、各種さまざまなタイトルが出ており、ジャンプ黄金期作品のなかでも、とくにゲーム化が多かった作品でもあった。
今回は、『週刊少年ジャンプ』ファミコンのプチレアタイトルを紹介してきた。いずれも、原作の特徴や雰囲気を再現した魅力的なゲームばかりだ。
漫画を原作とするゲームは、原作のイメージも相まって全部が手放しに素晴らしいとは言い切れない。しかし、好きな漫画キャラを動かせるのは単純に嬉しいものだ。だからこそ、ゲーム性でガッカリしないものであってほしいと、ファンの一人として願っている。