■随所に仕込まれたスタッフの“原作愛”の数々!
やはり忘れてはいけないのは、本作が名作漫画『美少女戦士セーラームーン』を原作としている、という点だろう。往々にして原作ありきのゲームだと、もととなった作品の世界観とはあまりにもかけ離れたシナリオ設定や演出が物議を醸したりするものだ。
しかし、そういった「キャラゲー」の観点でも、本作は非常に丁寧な作りの一作といえる。
美しいドット絵で表現されたセーラー戦士たちのヴィジュアルはもちろんのこと、彼女らの使用する技はどれも原作に登場したものばかりで、一部攻撃向きでない技も特徴を活かして実用的な技にうまく作り変えられている。
キャラクターボイスも豊富で、戦闘中の掛け声はもちろん、ミスの際やステージクリア時に流れるものやタイトルコール、エンディングの専用ボイスなど、全部で39種類ものボイスが随所でゲームを盛り上げてくれる。
そして、なんと言ってもゲーム中に「ムーンライト伝説」といった有名テーマ曲の数々が登場するのは、ファンにとっては堪らない点だろう。
さらに本作では、原作者である武内直子氏やアニメ版のキャラクターデザインと作画監督を担当してる只野和子氏もかかわっており、キャラクター選択時にそれぞれの変身シーンが挿入されるなど、“セーラームーンと言えば、これ!”という、ファン心を虜にする演出が目白押しなのだ。
それもすべて、スタッフたちの原作愛がなせる業といえるかもしれない。アクションゲームとしてだけでなく、「キャラゲー」としても隙のない作品だと言えるだろう。
スーパーファミコンソフト『美少女戦士セーラームーン』は「ベルトスクロールアクション」という思い切ったジャンル選定にばかり注目されがちだが、初心者から熟練者まで幅広く遊べる難易度や、原作のイメージを崩さずに楽しめる非常にハイクオリティなゲーム作品だ。
アクションゲーム好きはもちろんのこと、『美少女戦士セーラームーン』を愛するファンにとっても、たまらない一作ではないだろうか。