スポーツ漫画では、必ずライバルというものが登場する。実力が拮抗し、熾烈な競争が繰り広げられ、そして互いに成長していく存在だ。そんなスポーツ漫画で登場するライバルたちのなかには、妹を持つものもいる。そして、その妹は必ずと言っていいほど、なぜか美人でかわいい。
そこで今回は、スポーツ漫画のライバルの妹は本当にかわいいのか検証し、そして、そのかわいいライバルの妹が作品に与える影響などを考察してみる。もしかすると、そこにはスポーツ漫画の黄金パターンがあるのかもしれない。
■『はじめの一歩』間柴了/妹・久美
まず、森川ジョージ氏の『はじめの一歩』では、間柴了という主人公・幕之内一歩のライバルが登場する。そして、彼には間柴久美という妹がいる。
了は一歩よりも年は上だが、同じ会場でプロテストを受けた同期で東日本新人王決勝戦で対戦した因縁のライバルである。ひょろりとした体に長い手足に、悲壮感が漂う表情。そして、いったんキレると手がつけられなくなる非常に危険なボクサーだ。
一方、妹の久美は、そんな恐ろしい兄とは対照的で非常に明るくかわいい。コミック5巻に初登場し、その後一歩とは相思相愛の関係となる作中のヒロインだ。
間柴兄妹は幼いころに交通事故で両親を亡くしており、お互いに助け合いながら生きてきた。そのため、了はなにかと久美のことが気になるようで(一歩が奥手過ぎるせいもあるが)、恋愛事情になにかと首をつっこみがち。138巻に至る現在でも、一歩と久美の恋愛関係はあまり進展が見られないでいる。
■『タッチ』新田明男/妹・由加
次に、あだち充氏の『タッチ』では、新田明男という主人公・上杉達也のライバルが登場し、彼にも新田由加という妹がいる。
新田明男は、須見工業高校の4番打者で、作中屈指の天才スラッガー。中学生時代は不良だったようなのだが、達也の弟・和也に敗れたことをきっかけに本格的に野球に打ち込み、全国が注目する選手となった。さらに、ルックスも良く、冷静で穏やかな性格、学業も優秀……と、ほぼパーフェクトな高校生である。
一方、妹の由加は冷静な兄とは対照的に非常に勝気。初登場は中学生だったポニーテールが似合う美少女だ。周りに愛嬌を振りまくので男子にはすこぶる人気があり、そのぶん女子の間では嫌われている。兄の明男がライバルと認める達也に興味を持ちはじめ、川で溺れていたところを助けられたことで恋心を抱くようになる。
そして、明青学園にも入学し野球部マネージャーとなり、物語後半からは兄とともに達也の恋路を邪魔するライバルとなっていくのだが、“浅倉南”という高い壁にはばまれてしまう。かわいくて憎めないキャラだったが、作中のヒロインとまではなれなかった。