ゲームには、通常のプレイではなかなか見つけることのできない“裏技”が数多く存在する。発見できると嬉しい反面、なかにはいったいなぜこんなものを仕込んだのか……と、首をかしげてしまうようなものもある。今回は、思わず制作者の意図を想像してしまうファミコンソフトの“微妙な裏技”について見ていこう。
■正攻法も裏技もなにかと物議を醸した意欲作…『たけしの挑戦状』
数多くのゲームソフトが世に送り出されるなか、他作品とは一線を画す斬新な試みを盛り込んだ意欲作も数多く登場した。なかでもある種の“伝説”を築き上げたのが、1986年にタイトーから発売された『たけしの挑戦状』である。
お笑いタレントであり、映画監督としても有名なビートたけしさんが監修した本作は、ファミコン全盛期の当時にしてはあまりにも前衛的かつ挑戦的な内容で、プレイヤーたちの度肝を抜いた。
主人公のサラリーマンを操作し、“財宝”を探すためにさまざまなフィールドを冒険していくのだが、とにかくそのゲーム内容はハチャメチャの一言に尽きる。
ところかまわず住人を殴り飛ばせる仕様をはじめ、ほとんどの謎解きにはヒントがなく、かつ“ゲームを1時間放置する”や、“2Pコントローラーに声をかける”といった破天荒極まりないギミックの数々が用意されているのだ。
そんな本作には、ゲームをクリアせずとも、エンディングを見ることができてしまう裏技がある。そのやり方は単純で、“オープニング画面でパンチを繰り返す”というもの。
これだけだと簡単に思えるが、そこはやはり『たけしの挑戦状』。なんとその回数たるや“2万回”という常軌を逸した回数が設定されている。
現代でこそ連射パッドのようなガジェットが存在するが、当時は当然、手入力であり、それだけの回数をこなすのはかなり至難の業だ。どれだけ最速でこなしたとしても、1時間以上はかかってしまう。
はたして、誰がこの“2万回”という発生条件に気付いたのか……内容が内容なだけに、その背景もなにかと気になってしまう。
ゲームそのものはもちろん、仕込まれた裏技の内容までもがあまりにも意欲的すぎた、歴史に残る“迷作”と言えるかもしれない?
■リアルに待ち続けた甲斐がある? 『北海道連鎖殺人 オホーツクに消ゆ』
裏技のなかでもとくに巧妙で気付きづらいのは、リアル世界の“時間”と連動して発生するギミックだろう。
1987年にアスキー(ログインソフト)から発売された名作『北海道連鎖殺人 オホーツクに消ゆ』にも、そんな“時間”がトリガーとなって発生する裏技が存在する。
本作は「コマンド選択方式」を導入した初のアドベンチャーゲームであり、プレイヤーは舞台となる北海道を旅しながらも、難事件を解明するため捜査をしていく。
アドベンチャーゲームとしての出来もさることながら、スタッフが念入りに取材旅行をした成果が存分に発揮されており、北海道の名所を疑似体験することができる点も本作の大きな魅力だった。
捜査を行う道すがら、主人公は女子大生・めぐみと出会うのだが、とある浴場のワンシーンで彼女のバスタオル姿を拝むことができる。いわゆるちょっとした“お色気シーン”なのだが、ここでとある裏技を使うと、彼女がバスタオルを脱いだ姿を見ることができる。
その方法とは、“選択肢のなかから「なにかとれ」を選び、さらに「めぐみのバスタオル」を選んだあと、リアルに2分間待つ”……というもの。
根気よく待った主人公ことプレイヤーに対し、めぐみは「かわいそうだからみせてあげるね」の一言とともに、なんとオールヌードの後ろ姿を披露してくれるのだ。
言ってみれば、イラストが拝めるだけの裏技ではあるのだが、ドット絵で描かれためぐみのヌード姿に、当時のプレイヤーたちは度肝を抜かれたことだろう。攻略に役立ちはしないものの、どこかプレイヤーの下心を刺激する裏技だった。