■プレイヤーが告げるのは、優しい嘘か真実か「キナイとロミア」

 また最新作『ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めて』に登場する美しい人魚・ロミアと、ナギムナー村の漁師であるキナイ・ユキの恋物語も悲しかった。

 一度迷い込むと抜け出すことができないといわれている「白の入り江」で、1人佇んでいるロミアと出会うことで、プレイヤーは彼らの悲しい恋物語を知ることになる。必ず迎えに来ると約束したキナイが戻ってこないので、様子を見てきてほしいという依頼を受けることになるのだ。

 実は、彼らが約束したのは遥か昔、50年前の出来事だった。漁に出て嵐に遭遇したキナイを、ロミアが助けたことで2人は出会った。結婚を約束するまでに愛を誓った2人だったが、キナイには村長の娘であるダナトラという婚約者がいた。

 そこでキナイは村長に事情を説明するために、一度ナギムナー村に戻ったのだった。しかし、村長からの許しが得られないばかりか、しじまヶ浜の小屋に軟禁され、船を燃やされてしまい、二度とロミアのもとに行くことができなくなってしまう。

 その後、ダナトラは別の男性と結婚し赤ん坊を生んだものの、夫を事故で亡くしたことで、母子心中を図ったのだ。それに気づいたキナイだったが、赤ん坊しか助け出すことはできなかった。キナイは、自身の行いを悔い改めるため、その赤ん坊の父親となることを決意し、ロミアとの永遠の別れを誓った。何も知らないロミアが、50年という月日を1人、白の入り江で待っているということも知らずに……。

 すでにキナイは亡くなっているという真相を知った主人公たちがロミアのもとに戻ると、「キナイは迎えにきてくれると ロミアに ウソをつきますか?」という選択肢が現れ「はい」と「いいえ」を選択することができる。突然の選択肢に、驚き困惑した読者も多いのではないだろうか。

「はい」を選択すると、ロミアは主人公たちの言葉を信じ、たった1人、待ち続けるという、優しくも残酷な結末を迎えることになる。

 一方、「いいえ」を選択した場合には……。専用のムービーシーンが用意されており、思わず涙してしまう恋物語の結末となっているため、ぜひ実際にプレイして見てみることをおすすめしたい。

 以上『ドラクエ』作品の、悲しい恋物語を紹介した。実は、意外と『ドラクエ』作品ではキャラクターたちの恋模様が描かれている。『ドラクエ1』の主人公とローラ姫にはじまり、『ドラクエ5』『ドラクエ8』『ドラクエ11』では結婚イベントまで用意されている。恋愛要素が好きな方はぜひ、これらのナンバリングタイトルをプレイしてみてはいかがだろうか。

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