1983年に任天堂から発売されたファミリーコンピュータ。2023年7月15日に誕生から40周年を迎えるが、当時のソフトを未だにやり込んでいる人は多く、ゲーム開始からクリアまでの時間を競うRTA(リアルタイムアタック)の大会では未だにファミコンの攻略が盛んに行われている。そしてそんな猛者たちによって、当時は広まらなかったとんでもない裏技が、ある日突然見つかることも……。
そこで今回はファミコン・スーパーファミコンの名作から、数十年経って発見されたロマンあふれる裏技を紹介しよう。
■発売から10年たって発見された「ひとしこのみ」
まず1992年発売のスーパーファミコン用ソフト『ドラゴンクエストV 天空の花嫁』から、持ち物を特定の組み合わせにすると、モンスターが必ず仲間になり、味方の攻撃が全て会心の一撃になるという裏技、通称「ひとしこのみ」。
主人公の持ち物欄を上から順に、「ひのきのぼう」「とがったホネ」「しあわせのぼうし」「こんぼう」「のこぎりがたな」「みかわしのふく」として、残りは空欄にする。こうするとなぜか前述の効果が発揮される。このときの装備欄のアイテムの頭文字をとって、「ひとしこのみ」と、この裏技が名づけられた。
この裏技は2002年5月にあるゲーム解析サイトのオーナーによって発見された。スーパーファミコン『ドラクエ5』の発売から、実に10年が経過したうえでの発見だった。しかもそれまで誰にも見つけられることはなく、解析によって発見されたのだから、解析が無ければ永遠に見つからなかったかもしれない。
「ひとしこのみ」は実用性が高いが、万能ではない。主人公は「ひとしこのみ」しかアイテム欄に入れられないので、単体の戦力としてはほとんど役に立たなくなってしまうのだ。また、初期に手に入るアイテムで可能なように見えて、グランバニアまで進む必要がある。なので、「ひとしこのみ」を利用できるのは物語中盤からということになる。
前述の欠点があるとはいえ、モンスターが必ず仲間になるのと、全ての攻撃が会心の一撃になるというのは非常に強力だ。実用性の高い裏技がどこの媒体でも紹介されずに10年後の解析まで発見されなかったというのは実に不思議である。
■『大技林』にも載っていなかった裏技
ファミコンソフト『まじかる☆タルるートくん FANTASTIC WORLD』で、ヒロインの河合伊代菜ちゃんがあられもない姿になってしまうという裏技が2021年になって新しく発見された。これはゲーム系YouTubeチャンネル「4ST」の投稿によって明らかになったもので、1991年のソフト発売から実に30年ぶりの新発見だった。
方法はこうだ。第1話目のボスを倒すと第2話に進むことになるのだが、このときの本丸たちの会話画面で一定時間、何もしないで放置する。そうするとヒロインである伊代菜ちゃんの水着姿のグラフィックが表示される。と、ここまでは筆者の手元にある『大技林』(1992年版ファミリーコンピュータMagagin付録)でも書かれてある当時から知られていた有名な裏技。だが、ここに更なる裏技が隠されていたのだ。
見つかった新技は、水着姿の伊代菜ちゃんの画面で、2PコントローラーのBボタンを147回押すというもの。すると、一糸まとわぬ状態の伊代菜ちゃんのドット絵が表示されるのだ。伊代菜ちゃんが水着になるまでは既知の裏技であったが、その後の裏技の裏技とも呼べるこちら。聞いたときはにわかには信じられなかったが、実際プレイしてみると確かに再現できてしまうのだ。
ボタンを押す回数が147(いよな)回ということで、開発者が意図的に仕込んだ裏技と思われるが、その情報が2021年まで誰からも語られなかったというのは凄いことである。同作は『スーパーマリオ3』風のアクションゲームで、程よい難易度が楽しめる良作。他にも開発者だけが知っている裏技が存在するのかもしれない。