■のっけから理不尽てんこ盛り…最初の町にたどり着けない!?

 あまりにも難しいゲームとして、レトロゲームファンには有名だったファミコン用RPG『星をみるひと』(1987年)。この珍作が2020年にNintendo Switchに移植されたため、筆者も初めてプレイをしてみた。このゲームがどう難しいのかは、なんと開始直後から味わうことになる。

 最初も最初、タイトル画面からスタートした直後、プレイヤーは何の情報もなくフィールドに放り出されることになる。本当に何もない、草原と海が広がる空間だ。

 実は、初期地点から左に進めば町があるのだが、なぜかマップ上には表示されないため、たどり着くためには相当な運が必要となる。町を見つけることができないままに強い敵と何回もエンカウントして、心が折れてしまった人も多いのではないだろうか。

 また、この最初の試練を突破しても、さらなる理不尽がプレイヤーを待ち受けている。単純に敵が強いということもあるが、『星をみるひと』の物理攻撃は、なぜかとてつもなく弱く設定されているのだ。

 そのため、雑魚敵相手にすらMPを消費して実行するESPを使って戦うしかなくなってしまう。また「逃げる」コマンドもなく、代わりにESPの「てれぽーと」が存在するが、これにもMPが必要となるのでMPが尽きたらほぼ間違いなくゲームオーバーとなる。また、逃走に失敗すると元の場所ではなく決まったポイントに飛ばされてしまう。

 他にも、パスワードを入力するのに時間がかかる仕様になっていたり、パスワードが通っても、経験値と所持金は256を単位として端数が切り捨てられ、目減りした状態から再開しなくてはならないなど、セーブ・ロード面でも「どうしてこんな仕様に……」と感じてしまう局面が多い。

 さすがにSwitchで発売されたバージョンでは、移動速度2倍や巻き戻しなど便利機能が追加されて遊びやすくなっているが、それでも今の感覚からすると相当に理不尽感が味わえることは間違いない。

「こんなの絶対クリアできない!」と途中でプレイをやめてしまって“クソゲー”認定してしまった経験は、誰しも何回かはあると思う。設定ミスを疑うような理不尽さだったり、尋常ではない高難易度だったりと、いろいろなケースがあるだろう。だがそれを踏まえてプレイし続けることでしか得られない体験が、確かにある。あなたにはどんな“理不尽”ゲームの思い出があるだろうか。ぜひ時々思い出して、できればもう一度プレイしてみてほしい。

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