■ラスボスで詰んで最初からやり直し!?
ラストにとんでもない理不尽展開が待つRPGといえば、スクウェア時代の名作RPG『ロマンシング サ・ガ2』(スーパーファミコン/1993年)を思い浮かべる人が多いのではないだろうか。
『ロマサガ』シリーズは、総じて難易度が高いことでも知られるが、今回はムズすぎる「場面」ということで、特に印象的だった『ロマンシング サ・ガ2』をチョイスした。『ロマサガ2』は、ゲーム全体として見ても難易度が高く、術や仲間を増やすためには順序よく様々なイベントをこなしていく必要がある。そうでなければ、あまり強力なパーティーを組むことができなくなってしまうのだ。加えて、分岐によってイベント難易度の上下も激しく、ゲームクリアには適切なルートを選択する必要がある。
また、戦闘の難易度も高く、雑魚敵相手でも後半になると全体攻撃を受けて一撃で全滅してしまう可能性が出てくる。
さらに、詰みポイントや罠が多数存在するのも厄介なところ。戦闘から逃げると戦闘回数にカウントされて敵が強くなったり、特定の技を覚えていないと一部のイベントが超高難易度になったりと、気を抜ける場面が少ないのだ。全滅せずに技を覚えた状態で次期皇帝に継承しないと、せっかく覚えた技が技道場に追加されないことも、地味にシビアな要素だ。
そんな中でも、一番インパクトがある場面は、やはりラストバトルだろう。LPやWPを回復しセーブも万全、いざラスボス・七英雄に挑もうと戦闘するも、その強さがとんでもないのだ。最強呪文であるクイックタイムなしでラスボスに勝つのは、相当に困難となる。
それだけならレトロRPGにはよくあることなのだが、問題はそれだけではない。育成不足でラスボスに勝てる見込みがないと分かったら、いったんセーブデータをロードし直してパーティーを強化するというのがRPGのセオリーだが、『ロマサガ2』はそれを許してくれない。
いざ撤退しようとすると「……逃さん……お前だけは……」と言われてしまい、引き返すことができないのだ。運悪く、本作はどこでも無制限にセーブできる仕様だったため、ラスボス直前にセーブをしてしまうと引き返すこともできず、まさに“詰んだ”状態になってしまう。セーブデータを複数管理していた人ならまだ助かる。だが兄弟で1本のソフトを共有していたような子どもはセーブデータを1個しか与えてもらえず、なくなく諦めたということもあっただろう。
このラスボス手前では、最終皇帝による「この先は引き返せないぞ」という警告が入る。その言葉が逆にラストバトルへの緊張感を高め、「一応セーブしとくか……」という気にもさせられてしまう。この「……逃さん……お前だけは……」は当時のプレイヤーにとって衝撃的で、この難しさこそロマサガの味とも言えるものだった。