■「アンゴルモア大王」を覚えていますか?

画像は『ONE PIECE 幻のグランドライン冒険記!』プレイ画面より

 シュシュの必殺技「きょうふのだいおう」。これは隠し助っ人キャラ「アンゴルモア大王」との合体技である。

 さて漫画『ONE PIECE』において、アンゴルモア大王というキャラが登場しただろうか。おそらく原作ファンであっても、ほとんどの人がその存在を忘れているのではないだろうか。実はこのアンゴルモア大王、単行本9巻の作者コメントにチラッとだけ登場しているだけのキャラなのだ。

 同作のコミックス9巻が発売された1999年7月は、16世紀の占術師であるノストラダムスが「1999年7月に空から恐怖の大王が降ってくる」と大予言した時期。この恐怖の大王が「アンゴルモアの大王」を復活させるという予言だが、これに対して作者である尾田先生は、単行本の作者コメントに、このようなコメントを残した。

「えー。只今、西暦1999年7の月。ノストラ師匠が『アンゴルモアの大王による世界の破滅』を予言された月であります。つきましてはこの度、アンゴルモアの大王を指名手配すると、世界政府の決定がくだりました。人相はうえの通り。」(『ONE PIECE』単行本9巻「涙」作者コメントより引用)

 こうしてアンゴルモアの大王の人相書きとして、イラストが掲載されたのだ。ONE PIECEの世界とノストラダムスの世界がつながっているようにも思える尾田先生の遊び心あふれる表紙裏コメント。作中でもパンダマンのように細かい部分で隠しキャラとして登場しているのかもしれないが、登場したのはこの作者コメントだけではないだろうか。

 ゲーム内では、このアンゴルモア大王を復活させようとしている「大王復活隊」という集団が、黄金の島の洞窟内に潜んでいる。ここにシュシュを連れて行くと、なぜかアンゴルモア大王がシュシュになつき、仲間になってくれる。そしてレベル50に達したところで最強技「きょうふのだいおう」を使うことができるのだ。

 それ以外の大きなイベントはないが、そんな原作ファンですら覚えているか怪しいキャラを、助っ人キャラといえど登場させるというのは、なんとも原作愛に溢れた作品だったのではないかと思う。

 漫画『ONE PIECE』は現在佳境に入りさまざまな謎や伏線が解消されつつある。ロックス・D・ジーベックやベガパンクといった最強クラスのキャラの登場も待たれるが、まさかまさか、シュシュとアンゴルモア大王が再び登場するなんてこともあるかもしれない。

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