■「不老」って魅力的?それとも…?

 みなさんは「不老」についてどう思いますか?

 この作品に出てくる大きなファンタジー要素ではありますが、ちょっと本当にあるんじゃないかこれ、と思わせるほど作りこまれています、だって、ねえ……?

 ゲーム開始時、自分はすげえなこれ、本当にあったら争奪戦だろうなと思っていましたが、プレイしていくうちに少し考え方が変わりました。

 人生観を考えさせられるというか、「不老」という存在が目の前にあることで人間がどう感じるのか、というファンタジーだからこそ描けるリアルさをビシビシ感じて、今日までこうして生きてこられてよかったなと感じました。

 ちなみに本作にはキャストのスペシャルインタビューが収録されていたのですが、そのインタビューではキャストに「不老の果実があったら食べますか?」という質問を投げかけていました。

 そしてその質問に対し、ほとんどのキャストが「欲しいなと思っていたが、作品を通じていく中でいらないなと思うようになった」と回答していました。本当にまさしくその通りというか、プレイした自分もそうだよな~分かる~となりました。

 しかし、ただ一人、佐野岳さんだけは少し恥ずかしそうに笑いながら「実は僕は全然食べちゃいたい派です」と答えてらっしゃったのです。これを見たときに私は佐野さんのことがめちゃくちゃ好きになりました。飾らない、ウソ偽りのないその回答とその表情に本作のすべてが詰まっているように思いました。

 人が生きていくことに対する美学、意味。

 昨今、悲しいニュースも多いですが、生きていく勇気を持って日々を楽しめている私たちは、いつか来る終わりに向かって歩いています。これは逃れられません。この事実に対する考え方を、本作はミステリーゲームという形で問いかけてきます。

 その中で、説教臭い何かを提示することはありません。それは佐野さんが示してくれた通り、人それぞれ本作から受け取るメッセージから導かれる答えが違うんです。どの答えもあくまで「仮説」にすぎません。仮説を立てながら一つ一つ歩んでいけばいいんです。

 まだプレイしたことがない人へ、今「不老」についてどう思いますか? その答えを胸にぜひプレイしてみてください。プレイ後にその考えが変わっているかどうか。そんな楽しみ方も本作の引き出しのひとつといえるでしょう。

■意外とボリュームも多いぞ

 物語のボリュームはそれなりにあるので、歯ごたえのあるミステリーを存分に味わえます。私の頭脳では難易度は割と高めで一筋縄ではいきませんでしたが、推理自慢はぜひ挑戦してみてください。

 仮説を立てるパートの操作性が難しく、とくに左右スティックでの使い分けに慣れるのに時間がかかったのですが、それ以外はかなりシンプルな選択式のアドベンチャーゲームなので、ゲーム操作に自信がない人でも最後まで楽しめるでしょう。

 久々に頭を動かしたいな!と思っている方、この春一番のミステリーを解き明かしてみませんか?

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