■都内では小中高生283人が補導

 また、並んでいたのは高校生だけではない。小学生や中学生も、『ドラクエIII』を求める行列の中にいたという。そして、まるで網にかかったイワシのように次々と補導されていたことが報じられている。次に引用するのは1988年2月11日の朝日新聞朝刊31面「学校サボった 283人補導」という記事である。

「人気ファミコンソフト『ドラゴンクエストIII』が全国一斉に発売された10日、警視庁少年一課は都内7カ所の繁華街で補導を行い、夕方までに学校をサボって買いに来ていた小中高生ら283人を補導した。
このなかには小学生6人、中学生77人もいた。池袋では、発売したカメラ店前に1万人を超す列ができたこともあり、7カ所で最も多い156人が補導された。」(朝日新聞朝刊1988年2月11日31面より)

 前年1987年1月27日に発売となった『ドラゴンクエストII 悪霊の神々』でも同じように学校をサボってソフトを買いに走る生徒が続出したことが問題となっていた。そのため東京都の教育委員会は、『ドラクエIII』発売前に都内の学校に対して「学校を休んでソフトを買いに行かないよう指導を」と通達を出していたが、誰よりも早く確実にソフトを手に入れたい子どもたちが続出し、結果的に大量の補導者を出してしまった。

 11日の記事にある「夕方までに学校をサボって買いに来ていた小中高生ら283人を補導した」ということは、前日に朝日新聞が話を聞いた高校生も補導されていたかもしれない。とにもかくにも、『ドラクエIII』の発売が少年少女たちの大量補導を誘発させてしまったことは事実で、これを最後にこれ以降の『ドラクエ』シリーズは、いずれも平日ではなく休日が発売日となった。

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