■世界観・演出のゆるさと熱いストーリーの緩急に、あなたもきっと揺さぶられる

 敵があまりにも速すぎて全然勝てないかけっこイベントや少しでも早出しすると確定で負けるじゃんけんでの戦闘、助けたヒロインがどうぐ扱いで所持できて、使用すると「あ・と・で」と言われるなど、遊び心満載の本作。

 実はクリアに必要なフラグはほんの少ししかなく、細かな寄り道要素が随所にちりばめられていて、グラフィックや演出の豊富さも考えると、ホントにこれがファミコンの容量で作られたのか!? と疑いたくなるようなボリュームを誇っています。エンディングのスタッフロールの演出もクスっときますし、細部にわたってユーザーを楽しませようという気概が伝わってきます。

画像は『スクウェアのトム・ソーヤ』プレイ画面

 そんなゆるい世界観のなかでも、少年少女たちの好奇心と行動力、そこから得られる教訓や学び、ドキドキワクワクの展開など、原作の持ち味をまったく損なっていないというのも本作の魅力。

 夢をきっかけに宝探しの冒険に出たトムたちは、冒険の末にいったい何を見て、そして何を得たのか。その結末はきっと、トムたちと同年代の子たちだけでなく、大人になってからでも胸にグッとくるものがあるでしょう。

 少しでも気になった方は、ぜひ遊んでみてはいかがでしょうか。原作を少し読んでみるのも、よいかもしれませんね。

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