インターネットが普及した現代の様相を“予見していた”として、『メタルギアソリッド2 サンズ・オブ・リバティ』(プレイステーション2・2001年/コナミ)はいまだによく話題になる。2021年11月13日に北米版の発売から20周年を迎えたことを受け、シリーズの生みの親である小島秀夫監督は、自身のツイッターで同作の開発話などをつぶやいた。
そして日本のプレステ2版も同年11月29日で、発売から20周年を迎えた。『メタルギアソリッド2サンズ・オブ・リバティ』(以下、MGS2)は、ソリッド・スネークが主人公の“タンカー編”と、特殊部隊FOXHOUNDの新人・雷電を中心にした“プラント編”の2部で構成されている。極秘裏に開発されているという新型メタルギアの調査と破壊がタンカー編の目的。そのタンカー編から2年後が舞台のプラント編は、海上除染施設“ビッグ・シェル”に潜入し、同施設を占拠しているテロ組織“サンズ・オブ・リバティ”の武装解除と、囚われた人質の救出を行うという内容だ。
前作『メタルギアソリッド』の主役だったスネークは、本作では雷電のサポート役という立ち位置。物語のボリューム的にも、タンカー編は序章、プラント編が本編というかたちだった。『MGS2』の実質的な主人公がスネークではなく雷電であるという事実は、当時のファンに少なからず衝撃を与えた。
シリーズの中でも、同作のとがったストーリーはとくに印象深い。インターネットやAI技術を始めとする、当時としてはまだ発展途上だったデジタル的な要素がふんだんに詰めこまれていた。中学生のときに遊んだ筆者にとって、本作の物語はあまりに難解だったが、現代社会を“予見していた”とうたわれるゆえんは、まさにここにある。
本記事では、そんな『MGS2』に登場するキャラクターが放った名言を、いくつかピックアップして紹介しよう。
■「らりるれろだと!」(タンカー編)
新型メタルギア“RAY”のお披露目で行われた演説中、セルゲイ大佐やオセロットが率いる私兵部隊の襲撃を受けたアメリカ海兵隊司令官。RAYを“愛国者達”に返してもらうと言ったオセロットに対し、司令官は上記の言葉を返した。
“らりるれろ”とは、『メタルギア』シリーズに登場する謎の組織「愛国者達」の隠語である。司令官は別に「らりるれろ」と言いたかったワケではなく、体内に注入された軍用のナノマシンが引き起こす“言語統制”により、“愛国者達”という言葉が勝手に“らりるれろ”に置き換わってしまう。つまり軍用ナノマシンが注入されている人間は、司令官に限らず、誰も「愛国者達」を発音できないのだ。
オセロットによる“RAY”強奪はタンカー編のクライマックスであり、後のプラント編にも直結する重大なイベント。さらにオセロットは、この時点でRAYをロシア再建に利用したいセルゲイ大佐のことも裏切っている。ロシアの私兵部隊による米海兵隊への襲撃→セルゲイ大佐とオセロットの登場→オセロットの裏切り、そしてリキッド・スネークの人格によるオセロットの乗っ取りという怒涛の展開だった。
そんな緊迫した場面だからこそ、いきなり“ら行”がでてきて拍子抜けした人も多いだろうが、“らりるれろ”は、ソリッド・スネーク最後の戦いが描かれる『メタルギアソリッド4 ガンズ・オブ・ザ・パトリオット』(以下、MGS4)につながる、シリーズの根幹とも言える要素なのだ。