■テレビドラマでの圧倒的動きで視聴者をビビらせた高岩さん

 高岩さんは仮面ライダーだけではなく、スーパー戦隊シリーズやメタルヒーローシリーズなどでも数々のキャラクターを演じてきました。今では「スーツアクター」と呼ばれることも多くなりました。

 僕もこのコラムで幾度となくスーツアクターが好きだと言ってきましたが、お仕事で高岩さんに接していくにつれて“俳優さん”という認識が強くなってきたんです。高岩さんに直接お話を聞かせていただく機会があり、その中で「スーツアクターといっても、俳優さんが衣装を着るようにスーツを着用し、メイクをしてもらうようにマスクを被る。その役になるというのは変わらない」とおっしゃっていて、腹にストンと落ちたんですよね。

 マスクをかぶると表情は見えなくなってしまうので、角度を意識したりと独自のテクニックの部分があるそうですが、マスクの中でもしっかりお芝居をされています。現に、表情が変わらないマスクから喜怒哀楽がしっかりと伝わってきますからね。顔は見えなくともマスク越しや背中、指の動きなど体すべての神経を使った高岩さんのお芝居に僕は魅了され続けてきたんです。

 しかし2018年『仮面ライダージオウ』までで、長年続いたライダーの主演はストップ。翌年の『仮面ライダーゼロワン』では敵側のライダーを演じ、先月最終回を迎えた『仮面ライダーセイバー』では一度もスーツアクターとして関わることはありませんでした。

 ファンにとってはめちゃくちゃ寂しかったです。ですが、高岩さんがテレビドラマにスーツアクターではなく俳優として出演することがあり、SNSではかなり話題になりました。視聴者の方々がツイッターでつぶやくんですよね。「この動きはカブトみたいだ!」とか「完全にキバじゃん!」みたいな。

 まったく知らない方の反応は、「このカッコいいおじ様そんなすごい人だったの!?」「え? カブトだったの? キバだったの?」「え!? 昔私見てたんだけど!」状態だったので、いろんな形で高岩さんの存在が世に知られるようになり、ファンとしては勝手に鼻を高くしていました。まぁ僕からすると「この人、仮面ライダーに出てたあの子だよ!」ですが(笑)。

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