■伝えることの能力が異常に飛び抜けている

 さて前置きがビックリするぐらい長くなりましたが、そんな「高岩成二」さんの初主演舞台 劇団メルシアーク第24回公演『星鏡(ほしかがみ)』を観に行ってきました。

 ね! 説明聞いてからだと、この言葉の重みが分かりますでしょ? 今までマスクをかぶってお顔が見えなかったけれど、見られるんですよお顔が! しかも舞台! 特撮ではアフレコで消されてしまった声が生で聴けるんです! そんでもって初主演ですから、こんな歴史的な日はありません。

 もしかしたら再演、映像化など可能性がゼロではないと思いますし(個人的に思ってるだけです)、19日まではツイキャスでのプレミア配信も行われています。これからお楽しみいただくみなさまのために、大きなネタバレなしでの感想をつづっていきますが、おおまかな流れだったり、こんなことがあったよ! なんてことは書きますので、それも嫌な方はここでやめておくことをオススメします。なので、高岩さんのここすごい! など僕個人のちょいと偏った感想になると思います(笑)。

 まずは舞台冒頭。さっそく、暗転の中から徐々に高岩さんの姿が浮かび上がってきます。やはり主演舞台ですから、一発目の高岩さんはどんな感じで出てくるんだろうか!? と自分の中でハードルがギンギンに上がり、どこかで「もしかしてアクション?」なんてほんのり思っていたのですが、真逆でした。

 日常の中の一コマ。薄暗い中で特にセリフを発することなく淡々と、そしてどこか疲れを感じさせながら晩酌する男。この一発目の存在感がとてつもなかったんです。ほぼ表情は見えないんですが、動きだけで魅せられてしまうんですね。

 これってやっぱりスーツアクターの経験が長い高岩さんだからこそできる演技だと思うんですよね。指一本一本までが演じているんです。形として見せること、伝えることの能力が異常に飛び抜けている高岩さんから仮面を外したとき、こんなにも繊細に演じる人なんだと驚きました。このワンシーンに高岩さんのキャリアを見ました。体すべてを使って伝えるプロのすごさを、そして空気を肌でひしひしと感じました。

 仮面ライダーの中が透けて見えるというんでしょうかね、あ、中に入ってるときもこんな感じで表情を作ってたのかな? なんて思ったら、やっと見られたじゃん……とめちゃくちゃ感動しました。

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