■実力を誇示できる対戦相手を求む!
ゲームセンターではあれほど「来なくていいぞ」と願った対戦相手ですが、何度でもタダで遊べてしまうSFC版に慣れてくると、誰かに腕前を披露したくなります。なんとも現金なモノですね。
近所の友人や同年代の親戚たちに『ストII』をプレイさせ、「昇龍拳のコマンドは、前に歩きながら波動拳を出す感じでやるんだよ?」「出ない? ははーん、練習あるのみだね」「まずは連打でも技が出せるブランカやエドモンド本田を使ってみたら?」なんて言ってみたりもしました。
かの有名な「俺より強い奴に会いに行く」のキャッチコピーとは裏腹に、「自分より弱い奴に会いに行く」日々の始まりです。
手始めにダルシムの立ち中キックとヨガファイヤーで相手を近づけさせず、ボコボコにした記憶もあります。ひどい話ですね。当然、やられたほうはたまったものじゃなかったでしょう。
それは図らずも、かつて誰かさんがゲームセンターの対戦台で辛酸をなめた、あのときとまったく同じ構図でした。
しかし、SFC版で本格デビューした私もまだプレイして日が浅く、相手が慣れてくると油断して苦戦することも……。波動拳は当てられた。ソニックブームやサマーソルトキックがヒットすると気持ちいい! 練習さえすれば自分もいつかは昇龍拳! もしかすると、そんなワードが頭を駆け巡ったのかもしれません。
そんな彼らもいつしかゲームショップの店頭で言うのです。「ストIIください!」と。
おそらく日本中で似たような流れがあったのだと思います。SFC版『ストリートファイターII』はもともとの『ストII』ブームに加えて、口コミでも面白さが広まっていき、売れに売れました。その数、国内だけでも288万本。最終的に全SFCのソフトの歴代5位に食いこむ圧巻のセールスを記録しています。
そんなSFC版『ストII』の発売から29年が経過した現在も、『ストリートファイター』シリーズはまだまだ進化と躍進を続けています。最新作『ストV』では、懐かしの『ストII』『ストIII』『ストZERO』だけでなく、ほかのカプコンのゲームタイトルからもキャラクターが参戦。さながらお祭り騒ぎの様相をていしています。
これを機にeスポーツ観戦の一環として、プロゲーマーたちの熱い戦いを覗いてみるのもいいかもしれません。それなら左手の親指も痛みませんからね!