■本作をナンバーワンたらしめるハクスリーの存在

 そして、本作を語る上で絶対に外せないキーマン「ハクスリー」について。ハクスリーはまったく会話が成立していないけど、なんだかカッコいい言い回しをする私立探偵(アンドロイド)。初めは「なんだこいつ」となること請け合いですが、私はハクスリーの存在によって本作が「ナンバーワンだ」と確信するほど最後は大好きになりました。

 たとえば、初めて出会ったとき、妙な話し方をするハクスリーにラニアの相棒であるカミュ(ワンちゃん)が「どうしてそんな話し方をしているの?」と聞くと「俺に質問してきた脳なしは誰だ?」「おれはそいつをあしらった」などと返してきます。

 まるでハードボイルド探偵小説の一文のような話し方で、これも本作のユニークなセリフ回しの一部かなどとヘラヘラしていましたが、最終的にはこの話し方にも愛着が沸いてきます。ハクスリー……。

相棒・カミュもこの言い草

 もう完全にネタバレになるのでハクスリーがどんな存在なのかという説明が本当に難しいのですが、とにかく私はハクスリーのおかげで素晴らしいシナリオになったと感じています。ぜひプレイして彼の虜になってください。

 本作は収集アイテムやサブクエストによるやり込みなどによってHOVAを改造できたり、ラニアの部屋の装飾品を購入できたりします。こういう飽きさせない「意味のあるムダ」がゲームを楽しむには必要だなと私は思っているので、寄り道好きな人はいろんなところをぐるぐる回ってください。急いで配達しなければいけない場面もそんなにないので、ニヴァリスという都市を探検してみてはいかがでしょうか。なんだか見てはいけないようなものまで見てしまうかもしれませんが……。

 ということで私が思う2020年ベストゲームは『Cloudpunk』でした。RPGや『Slay the Spire』のようなローグライクが好きな私がこのゲームにこんなに引かれるとは、プレイ前はまったく想像しておりませんでしたが、ふたを開けてみればどっぷりハマってしまいました。

 思えば、『デトロイトビカムヒューマン』も死ぬほど面白かったなあと感じたので、『デトロイト』が好きな方はプレイしてみても良いかなと思います。もちろんジャンルも操作感もまったく別物ですが、アンドロイドに関する物語として共通する部分は多大にあるので、きっとお気に召すかと存じます。

 みなさんの2020年一番面白かったゲームはなんでしょうか? そんなことを思い返しながら、2021年はもっと素晴らしいゲームに出会えることを祈りましょう。『Cloudpunk』本当に面白かったです。

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