■なにより抜群に面白い『Cloudpunk』
タイトル『Cloudpunk』は作中の配達会社の名前で、主人公・ラニアはこの会社の新人配達員です。本作はそんなラニアの出勤1日目の夜の出来事を描いた作品となっております。
ラニアは空中を飛ぶ車「HOVA」を運転して、アンドロイドが日常に溶け込んでいるネオンきらめく大都会・ニヴァリスを奔走していくことになるのですが、まず素晴らしいのは街が本当に美しいこと。雲の上にある都市、サイバーパンクな美しい夜を空飛ぶ車で走り回る。もうこれだけで心躍りますよね。SF映画のような世界観にゲーム開始早々魅了されるんです。
新人ドライバーであるラニアは仕事内容だけでなく、街や住人たちのことも良く知りません。なので常にプレイヤーと同じ目線でいてくれるので、感情移入がしやすいです。ラニアは配達していく中で、さまざまな住人たちと関わるのですが、「これ本当に一晩で起きたことなのか?」というぐらいトラブルに巻き込まれることになります。
基本的な操作としては配達先までHOVAで向かう、駐車場に停める、配達を完了させる、という流れ。やることは単純ですが、とにかく運転しているだけで楽しいし、住人たちとの会話も軽妙だし、そしてストーリーは気になるし、とゲームの世界観にのめり込んでしまうんです。
まず、ニヴァリスがまあ広い。サブクエストや収集アイテムも豊富で、本編クリアするためには行かなくてよい場所でもしっかり作り込まれており、寄り道したくなります。
そして、この世界の住人たちとの会話もおしゃれで、洋画のノリが好きな人はグッとくるでしょう。たとえば、最初に配達に行くこととなるマローという場所について説明するオペレーターの「出るときに靴を拭くような場所だよ」という言い回しもウィットに富んでいていいですよね。
クリアだけ目指せばゲームのボリューム自体はそんなにないのですが、それを感じさせない作り込みと、いつまでも没頭させられる世界観の魅力が随所にみられます。