ーー先生は、そうした周囲の声をデビューされる前から聞いてきたんですか。
中村 意識的ではなかったですが、子どもの頃から関心はありましたね。僕は、一人で誰にも見せずに絵を描いていたわけじゃなく、 必ずクラスの誰かに見てほしいと絵を描いてきたので。
中学校でもクラスの後ろの黒板に「マンガノート」を置いといて「読んでね」とやってたわけです。まあ、露出狂というか、単純に“クラスの絵のうまいやつ”というより、“なんか変なやつ”みたいな印象だったとは思いますが(笑)。そう考えても、やっぱり反応がどう返ってくるかというところに昔から軸足を置いていた人間だと思います。
ーーいまに至るまで一貫してるんですね。
中村 でも、実際にお金を出して、僕の絵の載った何かを買って下さる方っていうのは、自分の生活を犠牲にしているわけですよね。そういう方たちの意見はガチですよ。絵ってその方の生活空間を一部とはいえ占有しますし、 いい意味でいうと存在感はあるけど、悪い意味でいうと邪魔になる。
だから、僕の絵を持ってくれている方は、自分の生活を削り、僕に投資をしてくれている。そういう方の意見はプロになった後じゃないと聞けないわけですから、すごく勉強になります。
後編に続く!
《プロフィール》
中村佑介(なかむらゆうすけ)
1978年生まれ、兵庫県出身のイラストレーター。大阪芸術大学デザイン学科卒業。ASIAN KUNG-FU GENERATION、さだまさしなどのCDジャケット、『夜は短し歩けよ乙女』『謎解きはディナーのあとで』、音楽の教科書などの書籍カバー、浅田飴、ロッテのチョコパイなどのパッケージほか、数多く手掛ける。ほかにもアニメのキャラクターデザイン、ラジオ制作、エッセイ執筆など表現は多岐にわたる。画集『Blue』『NOW』(共に飛鳥新社)は13万部を記録。教則本『みんなのイラスト教室』(飛鳥新社)、ぬりえブック『COLOR ME』『COLOR ME,too』(共に復刊ドットコム)、最新刊CDジャケット全集『PLAY』(飛鳥新社)も発売中。
http://www.yusukenakamura.net/