発売30周年! 古代祐三の神曲に衝撃『アクトレイザー』が示した「スーパーファミコン」の無限の可能性の画像
スーパーファミコン『アクトレイザー』(編集部撮影)
『アクトレイザー』懐かしのゲーム画面

 ファミコンよりすごく、そして「メガドライブやPCエンジンとは違った体験ができるのでは……」という期待を背負って、1990年11月21日に新ゲーム機の「スーパーファミコン」がデビュー。任天堂が繰り出したローンチソフト『スーパーマリオワールド』『F-ZERO』は期待以上のハイクオリティで、後続のソフトにさらなる期待が寄せられることになります。

スーパーファミコン『アクトレイザー』タイトル画面

 そしてスーファミの発売からすぐの90年12月16日、ゲームファンの注目が集まる中、エニックスから1本のソフトが発売。そのタイトルは『アクトレイザー』。当時スーファミの目玉だった拡大&縮小機能を見事に使いこなし、ファミコン時代とは比べものにならない重厚なサウンドが当時のプレイヤーのハートを直撃! あれは今からちょうど30年前の冬の日のことでした。

■オープニングの“古代サウンド”に鳥肌

 スーパーファミコンの電源を入れると流れ出す、まるでオーケストラが奏でているような厚みのあるオープニングテーマ。まだゲームが始まってもいない開始数秒で、いきなり心をつかまれたのを覚えています。

 そしてスタートボタンを押すと現れる、名前入力画面での荘厳な音色は、当時通っていた学校に併設されていた教会のパイプオルガンをほうふつさせ、「これがゲームの音なのか……」と衝撃を受けたものです。

 そしてゲームを進め、最初のステージ“フィルモア”のBGMを聴いたとき、私は完全に『アクトレイザー』というゲームに魅了されました。私にとって『アクトレイザー』を象徴する曲こそが、このフィルモアのテーマ。最初のステージにしては難易度が高く、ゲームに慣れていない序盤だから長時間聴くことになったのもありますが、それまでの私の中のゲームミュージックの常識をぶち壊してくれたメロディアスなBGMのとりこになりました。

今も耳に残るフィルモアの神曲

 もちろん、この時点では誰がサウンドコンポーザーなのかは知りません。ゲームクリア後、あの日本ファルコムの『イース』や『ソーサリアン』を始めとする数々の名曲を生み出した古代祐三氏だと分かって納得したことを覚えています。

 そして『ファイナルファンタジー』シリーズの作曲者として知られる植松伸夫氏が、のちに「アクトレイザーの曲はダントツで良かった」と言及したことも話題に。そんな衝撃的なゲームをリアルタイムで体験できたのは私にとっても大きな財産でした。

 発売から28年もたった2018年に開催された新日本BGMフィルハーモニー管弦楽団によるオーケストラコンサートで『アクトレイザー』の全曲が演奏。『アクトレイザー』の名曲がいまだに色あせず、愛され続けていることを物語っています。

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